「心臓がどきどきしている。こんな素晴らしい賞をいただけ、うれしい気持ちと、また始まる新たな体験に対する期待でいっぱいです」。大賞を受賞した直後のスピーチ。わき起こる拍手の中、満面の笑みが特大スクリーンに映し出された。
食物アレルギー患者が、安心して食事ができる飲食店を簡単に探せるアプリの事業プランを発表した。サービスの名称は「FREAT(フリート)」。アレルギーを持つ登録ユーザーをグループ化し、飲食店の情報を共有する。自分と同じアレルギーを持つ人が行った店の情報を簡単に検索できる。
自らもアレルギーで苦しんできた。子どもの頃は卵や乳製品、今もそばなどが食べられない。日本では飲食店のアレルゲン情報の開示があまり進んでおらず、知識にも差がある。店にアレルギーがあることを伝えると「分からないので帰ってください」と言われたことも。理不尽な思いをする人をなくしたいという強い情熱がある。
中学生の頃から起業を考えてきた。昨年参加した学生向けの群馬イノベーションスクールで、その思いを強くした。「ビジネスはお金のためだけでなく社会問題の解決になることを知った」
受賞特典として、慶応大湘南藤沢キャンパス(SFC)でプランを磨き、米国・シリコンバレーで発表する。「憧れの地で最高の機会をいただいた。前向きな話題を提示したい」。来年のサービス提供開始を目指す。
店舗数が増加しているコインランドリーの利便性を高めようと、カラオケを併設した新業態の「カランドリー」を考えた。洗濯物が放置されたままにならないように、洗濯終了後にはカラオケルームに連絡するなど、具体的にサービス内容を練った。
発表では、聴衆に分かりやすく事業内容を紹介するため、母と娘の対話方式を採用した。洗濯の待ち時間にカラオケを楽しめるだけでなく、深夜でも店員が常駐しているため女性が安心して利用できるといった利点をまとめた。
入賞して米国・シリコンバレーで発表する機会を得た2人は「うまく英語が話せるのか不安ですが、精いっぱい努力したい」と目を輝かせた。
家族を亡くした人と企業、社会をつなぐネット事業「ウィル・モール」を提案した。万が一の時でも慌てずに対応できる教養や意思決定の仕方を提供する。
その一つの「エンディング教育」は動画配信と経験者によるレビュー、地域別のマッチングが主軸となる。若者の会員制交流サイト(SNS)利用率の高さに注目した。
事業の収益性についても言及し、葬祭業の市場規模からみて、需要を取り込めば利益が見込めるとした。
大学入学当初から新しいビジネスを研究。「『ぐんまのすきやきまん』や『小切古味(おっきりこみ)』が商品化され、ネットや店舗で販売されている」と語った。
生まれ育った桐生市に2年前にUターンし、フリーランスのコピーライターとして企業の会社案内やホームページ作成を手掛ける。「地域の人たちの地元に対する愛と旅する人の愛をつなぎたかった」と「ツレタビ」サービスを考案した。
一人旅の需要は増え、訪日外国人客のニーズも多様化している。世界・全国各地の「知り合い=ツレ」が、旅行者の好みに合わせて旅を提案・演出してくれるウェブサービスを目指す。「地元の人たちの期待と旅する人の満足をマッチングさせるプラットフォームにしたい」と話す。
入賞を手にし、「群馬は横でつながっていきやすい。そこが良い所」とサービスの実現に意気込む。
会話の少ない高齢者の孤独を解消し、「シニアが支え合い笑顔があふれる社会」を目指そうと、ビデオ通話型シニア相互会話サービス「EMOTOMO」を発表した。
「地域おこし協力隊」として甘楽町に移住。多様な趣味や価値観を持つ活動的なシニアと、話し相手のいない全国の高齢者とのビデオ通話を利用した見守りサービスの事業化を提案した。
通話によって、お年寄りの生きがいや居場所、雇用の創出につなげたい考えだ。「長期的に社会にいいインパクトを与え、人が幸せになるサービスをつくりたい」と力を込める。
水分や温度などが分かるIoTセンサーの付いた植木鉢を遠隔管理し、季節ごとに多品種の樹木をシェアするサービス「IoT樹木鉢」を提案した。
地元館林市は日本一暑い地域として知られているが、緑地帯など場所によっては数度低い所もある。緑化を推進して温度上昇を抑え、季節ごとの花々で心も癒やされるとして、プランを考えた。
12月から市内で実証実験を開始する。事業を進めるための会社も設立した。農家やIT技術者、造園業者らと連携し、耕作放棄地を使った林業も手掛ける構想だ。「現世の花咲かじじいとなって地球を明るくしたい」と力を込めた。