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米国研修ツアーレポート

米国研修ツアーレポート 群馬の起業家集団、シリコンバレーを行く!

このツアーで一行は2014年4月21日から28日の8日間、アメリカ西海岸のサンフランシスコを拠点にシリコンバレーのIT企業や大学を見学した。現地の起業家や大学の研究者、群馬県出身の起業家などと本場のイノベーションについて研修、意見交換を行った。

参加メンバーは、株式会社ジェイアイエヌの田中仁社長、株式会社コシダカホールディングスの腰高博社長、GIAの初代大賞受賞の株式会社エムダブルエス日高の北嶋史誉社長ら総勢15人。上毛新聞社から鎌田一郎事業局次長、記者の大貫秀美が同行した。

主な研修地はStanford Univercity、apple、google、plug & play,evernote、Napa Valley Wine、Pebble Beach(オプション)など。


グーグル本社

一行は路面電車で有名なサンフランシスコの目抜き通りにあるホテルに陣取り、毎朝シリコンバレーまでバスで「出勤」した。因みにシリコンバレーという都市はなく、サンフランシスコから南下し、サンノゼ市一帯に広がるハイテクやIT企業が集まったエリアの通称だ。

時差ボケで朦朧とした状態でバスに揺られていると、いきなり車窓からoracle、eBay、intel、facebookなどのおなじみのロゴが目に飛び込んでくる。まさにここがシリコンバレーだと実感した。大手ではGoogleとappleを見学。code writerと呼ばれるプログラマーは広大な敷地を自転車で移動し、好きな場所でPCを広げ作業をする。社員食堂やカフェがあるが、なんとタダだそうだ。さらに床屋、トレーニングジムも自由にいつでも使える。ただ、自由の裏には冷酷な成果主義があるのもシリコンバレーの現実のようだ。


シリコンバレーの概要を講義

研修初日は、九州大学カルフォルニアオフィスの松尾正人教授がシリコンバレーの歴史と日米のビジネスや企業文化の違い、イノベーションの役割などをレクチャー。「ここでは組織やバックグラウンドは関係ない、あくまでも主役は個人だ。」と指摘する。日本人は仕事が丁寧で、礼儀正しく、清潔で素晴らしい国民だからもっと個性を発揮し、どんどん世界に進出しイノベーションを起こさなければならないと強調した。

一行は、午後はスタンフォード大学を見学した。大陸横断鉄道の創立者でもあるリーランド・スタンフォードが1891年に設立した世界有数の大学だ。世界中の俊英が集まる。シリコンバレーでは起業家を中心に、大学、投資家、大企業、研究機関、法律、会計、経営の専門家などがネットワーク(エコシステムと呼ぶ)を形成している。ここが日本との大きな違いだと実感する。


grabit社見学

翌日は、そのエコシステムを象徴するインキュベーションセンター(起業家育成機関)で有名なPlug&Play社を視察。起業家にブースを貸し出し、投資家や法律の専門家などが常駐し、「お見合い」の場でもある。プレゼンテーションのためのステージがあり、投資家の前で起業家たちがビジネスプランを訴える。同様の施設であるDraper&nexus社も見学し、その後は投資先のベンチャー企業であるGrabit社を訪れた。この会社は静電気を発生させ、接着面を磁力で吸着させるという、とんでもない技術を持っている。運送会社や工場など世界中から引き合いが来る。「アマゾンから売ってほしいといわれたら、どうする?」との質問に、「金額次第だ」と即答。つまり彼らの最終目標(エグジット)は上場か売却と明快だ。


エバーノート社内見学

日本人投資家として著名なJAFCOのCEO、菅谷常三郎氏の講演を聞いた。「国家の競争力の源泉はイノベーションだ」と言い切る。イノベーションはベンチャー企業が起こし、スケールは大企業や政府が担うとの指摘。特にこれからはクリーンエネルギーが注目。電気自動車(EV)で高級スポーツカーのテスラモーターもシリコンバレーの企業だ。4日目に研修を受けたEvernote日本法人会長の外村仁氏は愛車の真っ赤なテスラの前で「シリコンバレーでは朝令暮改は当たり前、常に進歩している。永遠のベータ版でかけ進む」と言い切る。とにかくスピードが命とも。

この研修で本場のイノベーションの姿をまざまざと見せつけられた。十分すぎるほどの刺激だった。研修最終日はナパバレーのワイナリーを巡り、知恵熱をワインで癒した。カリフォルニアワインの味は格別であったことはいうまでもない。


群馬県出身の皆さんと