「景観の維持に貢献するだけでなく廃棄物系バイオマスの有効活用、CO2の固定化という、まさに〝1石3鳥〞の製品です」。大賞に輝いた平塚さんはプレゼンでモルタル平板の魅力をこう強調した。
捨てるしかない「木のごみ」をどう生かすか。所属先の群馬大板橋研究室は12年前からこのテーマに挑んできた。木の主成分、リグニンに重金属を吸着する効果があることに着目。セメントとウッドチップを混ぜ、重金属に働きかける実験を諸先輩が重ねた。
受け継いだ平塚さんは東日本大震災で問題になったセシウムの除染にこの技術を使いたいと考えた。失敗を繰り返すうち、セシウムはうまくいかなかったが、銅によって植物が光合成できなくなる作用を使って、除草敷材を作る目標を定めた。昨年夏のことだ。
そして今春。北関東産学官研究会からその製品化に向けた取り組みへの助成を受け、基礎実験を開始。敷材はどのくらい長持ちするか、銅の混入量はどのくらいが適当か。「引年は腐らない」「効果も長持ちしそう」。そんな実験結果に支えられ、ファイナルステジで自信を持ってプレゼンした。
クラウドファンディングを使って、研究資金をねん出する方針だ。寄付に見合った施工をする「購入型」を提案し、耐性や効果について実証実験させてもらう。オフィスや工場の周り、一般家庭の庭などを想定。開発初期の値段は弩㌢×弩㌢の平板で千円以内を目指す。
今年度から始まった群馬イノベションスクル・学生版の受講生。「会社を興すなんて考えてもみなかったが、人生の新しい選択肢が加わった」と振り返る。エントリはその延長線。「まずは会社勤めをして社会の常識を学んだ後、この平板のビジネスモデルに戻ってきたい」と話す。
切り花としては販売できない、規格外のシンビジウムを一輪挿しにした「プチフルシンビ」を商品化した。これまで廃棄していた花と葉、カラフルな吸水性ポリマーを透明なデザートカップに入れ、気軽に飾れるようにした。
藤岡市は全国有数の切り花用シンビジウムの産地だが、2014年2月の大雪で生産量が激減。新商品は贈り物や土産品としての需要を見込み、地域のラン農家の活性化につながると発表した。
経済的理由で大学進学を断念する学生のために、新たな奨学金を考えた。企業側に、求める技能や知識を登録してもらい、要望に見合う学生を派遣。要望に達しない学生には講習も行う。労働対価は奨学金として学校に給付し、その分学費が軽減される。
アルバイトに時間を割く学生の姿を見てプランを着想した。学生は専門性の高い仕事を行うことでやりがいを感じられ、企業にとっても人材育成コストの削減につなげられる。
たくさんの協力がないと実現は難しい。素晴らしい場所で多くの人に聞いてもらえてうれしい。
タンスの中にしまい込まれたままになっている着物を共有し、活用するビジネスプランを発表した。持ち主から依頼を受けた店が着物を査定し、希少なものだけを預かり、保管する仕組み。着たい人に貸し出し、査定に応じた料金の一定割合を持ち主に還元する。
タンスに眠る膨大な着物の中には貴重品も多い。それを着物好きな人につなげ、見た人が「私も着てみたい」と思うきっかけをつくりたいと訴えた。
ここに来るまで多くの人に意見をもらい、夜遅くまでプレゼンの練習に付き合ってもらった。感謝している。
「要介護になっても、改善する人がいる。どんなリハビリを、どんな割合でやっていたのだろう」。このビジネスプランの出発点だ。予防だけでなく、「介護改善」に注力すべきだと主張した。ビッグデータとAI(人工知能)を活用し、それぞれに最善なリハビリを提案するのが「ICTリハ」。経済産業省の事業に採択され、県内11カ所の施設で2200人に実証事業中であることを強調した。
大勢の応援に感謝している。介護改善を実現するため、しっかりと成果を出していきたい。
大勢の前で、藤岡のシンビジウムを語ることができてうれしかった。支えてくれた先生や親に感謝したい。