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トップ座談会(3)地域活性化へ挑戦

202410/30

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2024」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社によるトップ座談会。3回目は座長の堀江明彦・群馬銀行常務取締役を中心に、課題を抱える地方経済の現状において挑戦を続ける9人が、それぞれの取り組みについて語り合った。(次回は11月6日掲載)

◆群馬銀行常務取締役 堀江 明彦氏

◎ニーズ把握、課題解決
 本年度は中期経営計画最終年度に当たる。2021年にパーパス「私たちは『つなぐ』力で地域の未来をつむぎます」を制定。新型コロナ流行や気候変動、人口減少など、さまざまな社会課題に直面している状況下で、当行の社会的存在意義やコア・コンピタンスを見つめ直し、役職員らの意見を基に作成した。
 パーパスを制定したことにより、お客さまのニーズを把握し、課題解決に取り組む営業スタイルへ変化。従来の融資業務のほか、事業承継や人材紹介、資産運用といったサービスを提供し、好評いただいている。
 近年は温泉・観光地の地域創生に取り組んでいる。当行とみなかみ町、オープンハウス、東京大学が連携して温泉街の再生モデルをつくり、地域活性化に力を注いでいる。

 ほりえ・あきひこ 1962年、渋川市生まれ。85年、群馬銀行入行。大宮支店長、太田支店長、営業統括部長を歴任し、2024年6月から現職。

◆クシダ工業専務取締役 串田 伸介氏

◎現場の声反映し改善 
 当社は電気工事や上下水工事などの設備工事、配電盤や制御盤などの製造を主な事業としている。本年度は一人当たりの生産性向上をテーマに業務を行っている。コロナ以降、建設業界は活況が続いており、依頼は増えているが、対応しきれずにお断りしなければならない状況がある。
 昨今の人手不足や働き方改革と相まって、いかに効率的に業務を行うかが重要となっている。例えば、紙の業務管理削除、AIも含めたシステム化による業務簡素化など、DXやAI活用に活路を見いだそうとしている。
 改善はトップダウンではなく、現場従業員の声を反映したものでなくてはならない。俯瞰(ふかん)的に見て変えなければいけないことをしっかりと話し合い、進めたい。

 くしだ・しんすけ 1983年、高崎市生まれ。2011年、クシダ工業に入社。人事や総務に携わり、同社八幡製作所長に就任。23年から現職。

◆ATホールディングス代表取締役 グループCEO 堀切 勇真氏

◎「社員の幸せ」第一に 
 本県を中心に東日本全域で、産業廃棄物の収集運搬から最終処分まで一貫したサービスを提供している。コロナ禍においては、病院からの廃棄物や予防接種の注射針などを処理する重要な役割を担ってきた。
 現在はコロナの特需はなくなったが、そんな局面であっても売り上げだけにこだわることなく「一緒に働く社員と、その家族の幸せを願う」ことを第一に掲げている。売り上げ1千億円よりも千人の仲間を集めることを目標に、社員それぞれの個性を生かして成長につなげていきたい。
 昨年10月、前橋市泉沢町に新社屋が完成した。こちらも売り上げ向上のためというより、働く環境を整える「100%社員のため」の社屋だ。目先の利益ではなく、5年後、10年後を見据えた経営に注力している。

 ほりきり・ゆうしん 1981年、神奈川県藤沢市生まれ。2013年、ATホールディングス設立。アドバンティク・レヒュースを軸に6社を率いる。

◆みずほ証券高崎支店長 賀見 武史氏

◎無償で金融経済教育
 4月に高崎支店長に着任し、上毛かるたは10札ほど覚えた。当支店は個人と法人向けに営業を展開。最近は、個人のお客さまからNISAやiDeCoの問い合わせが増えている。夫婦でゆとりある老後を過ごすには月37万円が必要といわれているが、足りていない人は多い。プライベートでも知人からNISAについて聞かれることが増え、多くの人が危機感を持っていると感じている。
 そういった流れを受けて当支店では、数年前から地方自治体の職員や企業の従業員向けに、無償で金融経済教育を行っている。近頃は参加者からの質問が増えており、関心の高まりを感じる。「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスに掲げ、金融機関として地方と日本経済に貢献できるよう、日々取り組んでいる。

 がみ・たけし 1980年、和歌山市生まれ。2003年、新光証券(現みずほ証券)入社。支店・本社営業推進部署を経て、24年から現職。

◆花助代表取締役社長 小林 新一氏

◎「推し活」で受注急増
 「花屋選びの不安を安心に変える」ことを目標に、全国130店舗の花屋と提携し、フラワーネットワークを運営している。
 以前は企業間で祝花を贈るための注文が中心だったが、数年前から「推(お)し活」の受注が増えている。自身が某アイドルグループの楽曲を歌った動画をアップしたのをきっかけに、ファンからコンサートや握手会で「推し」に花を贈るための注文が急増。全国各地の会場へ花を届けている。
 次の目標はデジタルを活用し、取引先からの多種多様な要望に応えていくことだ。例えば動画配信者のマネジメント会社からの受注で、ファンからのプレゼントの受け取り代行を行うなど、新たなサービスに挑戦し、群馬にも魅力的な企業があると若者に認知される存在になりたい。

 こばやし・しんいち 1972年、前橋市生まれ。米国などで花作りを学び、2005年に生花店開業。独自のネットワークで花を届けている。

◆グルメフレッシュ・フーズ 代表取締役社長 松本 健氏 
◎新事業で相乗効果

 当社は「安心とおいしさをまごころこめて」を目標に、主に国産豚を使ったもつ煮やホルモン焼きを製造している。
 本年度より取引先とのパートナーシップ事業により、栃木県芳賀町で工場の操業を開始した。現在、安定的な稼働に向けて取り組んでいる。前橋工場では、原材料や電気料金の値上がりなどにより収益性に苦しむ状況を打開すべく、新商品開発を重点的に、当社ならではの商品開発に取り組んでいる。
 また、老舗焼肉店の事業を承継して以降、現在も前オーナーからご助力いただきながら当時の味と品質を守り続けている。今後は、両事業のノウハウを活用して新たなB to C事業を構築して、相乗効果を目指していきたい。

 まつもと・たけし 1971年、前橋市生まれ。98年、グルメフレッシュ・フーズ設立。「安心とおいしさをまごころこめて」を理念に掲げる。

◆東和銀行法人営業部担当部長兼お客様応援室長 服部 政博氏

◎企業の成長サポート
 今年5月にパーパス「私たちは、地域のお客さまに寄り添い、ともに豊かな未来を創造します。」を策定した。ビジネスモデル「TOWAお客様応援活動」を通じて、お客さまへ課題解決のためのソリューションを提供し、地域経済とお客さまの事業の成長をサポートする。
 単に資金を提供するだけでなく、経営改善やコンサルティング業務などを通じて、お客さまが事業に専念できる環境を構築し、企業の成長を総合的に支援する。
 産官学金の連携を強化し、大学などの研究シーズを生かした新規ビジネスの創出支援など、地域課題の解決に資するイノベーションを目指す。生産性向上や人手不足解消、働き方改革の実現などで、お客さまの企業価値向上に貢献したい。

 はっとり・まさひろ 1967年、前橋市生まれ。90年、東和銀行入行。本店営業部などを経て、2018年、お客様応援室長就任。24年から現職。

◆前橋園芸代表取締役 中村敬太郎氏
◎癒やしの空間を提供

 当社は造園業から始まり観葉植物のレンタル、エクステリアやガレージのデザイン、樹木や花の植栽まで手がけている。2年前に沼田市内でグランピング・オートキャンプ場の運営を始めた。
 以前と比べて庭造りにかける個人の予算は減っているが、人が自然や緑を求める気持ちは変わらない。緑の価値を提案する新たな方法としてグランピング施設を運営。植物を扱うプロがデザイン設計し、造り、管理する癒やしの空間を提供している。
 今後の展開としては、海外で日本庭園を提供し、その価値を広めていきたいと考えている。そういったクリエーティブな仕事に取り組むことで、若い世代のモチベーションアップとやりがいをつくり、人材確保にもつなげていきたい。

 なかむら・けいたろう 1971年、前橋市生まれ。2003年、家業の前橋園芸入社。10年から現職。外構造園の設計施工を手がける。

◆ボルテックス執行役員 事業統括本部長兼業務本部長 千葉 武敏氏
◎社員の他社出向支援

 東京都心に「区分所有オフィス(R)」というリスクを抑えた形で、オフィスの分譲販売を手がけてきた。フロアごとや、さらに小口化して、より多くのお客さまに所有いただけるよう提案している点が当社の強みだ。
 最近ではJR東京駅八重洲口前の新築オフィスビルを分譲して、主に法人向けに提案している。
 今期は高級別荘の開発にも力を入れている。オフィス分譲の知見を生かし、タイムシェアなどの形を取り入れて広く利用できるようにする。
 現在は人材ビジネス「Vターンシップ(R)」という新規事業に注力している。大手企業以外でも社員に出向の機会を与え、他社でスキルアップするための在籍型出向サービスを提供。都内企業へ社員の出向を検討されている県内企業を支援したい。

【GIA2024協賛社】
▼実行委員/ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、いちもん、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、emusalon、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、KJ Internacional、コーエィ、国際警備、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ソウワ・ディライト、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎健康福祉大学、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、永井酒造、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プリマベーラ、ボルテックス、前橋園芸、増田煉瓦、マルエドラッグ、宮下工業、メモリード、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、野村證券高崎支店兼太田支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券高崎支店、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店

ファイナルステージは12月14日(土) @日本トーターグリーンドーム前橋

掲載日
2024/10/30

24.10.30 上毛新聞掲載はこちら

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GIAは群馬を活気づけたいと願う多くの企業様に支えられています。

202410/08
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群馬イノベーションアワード2023 トップ座談会(3)知恵絞り解決策導く

202310/04

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2023」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社によるトップ座談会。3回目は座長の入澤広之群馬銀行専務ら9人が「これからの成長戦略」をテーマに、地域と連携して進めている取り組みや既存事業の見直し、人材育成などについて活発に意見交換した。

■支援企業と共に成長 みずほ銀行高崎支店長 遠藤祥日郎氏
 従来の金融機関の支援は事業基盤が確立した企業向けが中心で、イノベーション企業への支援策が不足。〈みずほ〉は、シード・アーリーからアフターIPOまで各企業の成長ステージに合わせ、さまざまな支援策を用意し、ともに成長を歩んでいる。
 成長ステージごとの最適な資金調達、オーナー個人資産対応、IPO・M&A等のEXIT戦略、大企業とイノベ企業の大商談会など、〈みずほ〉の顧客基盤と資金力を生かし、イノベーション企業の成長を多角的にサポートする。会員サービス「エムズサロン」は4千社が加盟。群馬から世界に羽ばたくイノベーション企業の輩出に貢献したい。

 えんどう・しょうじろう 1971年、大分県生まれ。96年入行、東京、仙台、京都の営業部店、融資企画、人事、営業推進企画本部勤務を経て、2022年より現職。群馬に3拠点を置くメガバンクとして地域創生・地域貢献が使命

■多彩な事業で接点を 第一生命保険群馬支社長 加藤秀俊氏
 生命保険業界としてはコロナで多額の給付金を支払い、契約者の皆さまのお役に立つことができた。一方で、対面営業やデジタル推進の部分は課題があり、さまざまなことにチャレンジしないといけない。
 群馬支社の特徴としては、SDGsに関連する冊子の配布や、地域の自治体を中心に協定を結んでいるほか、金融リテラシーの向上を目的に中高生向けにゲーム感覚の出張授業も実施している。地域の皆さまのお役に立つことに取り組み、お客さまとの接点づくりを進めている。
 4月にペット保険会社がグループの傘下に入った。ペットの話も含めて営業員がさまざまな形でアプローチできるよう取り組んでいる。

 かとう・ひでとし 1966年、愛知県生まれ。大学卒業後88年第一生命入社。佐世保営業支社長、長野支社長、青森支社長などを歴任。地域の課題やニーズに寄り添った地域課題解決に取り組んでいる。2023年4月より現職

■社会課題に寄り添う メモリード取締役専務執行役員 高橋秀実氏
 社会の高齢化が進んでいく中で、健康面の不安増大や孤立、地域社会のつながりの希薄化といった課題がある。業界として、寄り添って対応することが必要だと考えた。冠婚葬祭業からウェルビーイング産業への推進が、成長戦略につながると思う。
 5月に予防医療とアンチエイジング美容に特化した医療法人を買収し、中高年層の健康への不安解消と生き生きとした生活が送れるようサービスの提供をしていく。高崎の結婚式場を改装し、中高年層が交流する憩い・学びの場としての複合施設を開設。その中で新しいコミュニティーができている。地域社会とのつながりでは、高齢者の見守りを支援する協定を県と結んだ。

 たかはし・ひでみ 1957年、太田市生まれ。大学卒業後、群馬銀行に32年勤務。2013年にメモリード入社、取締役、常務取締役を経て16年より現職。株式会社リアン、株式会社エクスロイヤルの代表取締役兼務

■企業に合う人材紹介 KJインターナショナル社長 丸野ケンジ氏
 主に製造業に外国人人材を派遣している。当社の人材はどんな仕事もできるビザを持つ日系人や定住・永住している人で、長期に派遣できる。
 人手不足の企業はスピード勝負で人材を要求している。コスト競争をするのではなく、当社の人材を採用して生産性が上がったと言われるよう、その企業に合った人材を選べるようにしている。派遣スタッフも含む社員全体向けには産業医や心理カウンセリングを多言語対応にするなど、福利厚生面の充実を図っている。Chat GPTなどAI(人工知能)も積極的に活用し、社内問題解決の支援や自動翻訳などを実現している。お客さまに良い人材を紹介できるように今後も取り組んでいく。

 まるの・けんじ 1989年、ペルー生まれ。桐生市育ち。人材派遣会社勤務を経て2014年に独立。在日外国人と製造業企業をつなぐ会社として事業拡大中。インド出身の高度人材の派遣にも力を入れる

■信頼つくり活用示す 広田住宅センター社長 広田金次郎氏
 不動産コンサルティングをテーマに三つ話したい。一つは相続関係。生前から親子関係や財産をある程度把握することで、スピーディーに適切にコンサルティングする。二つ目は空き地、空き家の再生・活用。相続後に登記を済まさないままの空き家、空き地があちこちにある。新しい制度で登記が義務になるので、相続人の希望を聞きながら、単に売ってしまうのではなく、地域の発展になる活用や再生を提案していきたい。
 三つ目は不動産知識のコンサルタント。不動産のオーナーや興味のある人と連絡が取れるアプリが開発されている。不動産知識や相続について一緒に勉強し、長く続けられるお客さまとの信頼関係をつくりたい。

 ひろた・きんじろう 1977年、高崎市生まれ。大学卒業後の91年、23歳で広田住宅センター入社。賃貸仲介、売買仲介業務を経て2016年から同センターおよびグループ会社の代表に就任

■「深掘り」と「探索」 群馬銀行専務 入澤広之氏
 銀行の業務範囲が徐々に拡大されており、成長の機会の拡大と捉えている。いま取り組んでいるのが、グループ会社との連携による既存事業の深掘りと、新事業の探索だ。
 既存事業では、関連グループ会社8社と共に、その機能を最大限に活用してお客さまのニーズや課題の解決を進め、コンサルティング業務の強化を進めている。新事業の中では、人材ソリューション事業や、購入型クラウドファンディングサイトの運営といった地域商社事業にも取り組んでいる。加えて、地域の活性化につながるための所有建物の賃貸活用など、地域やお客さまの役に立ち、かつ銀行の収益になることを成長戦略の基本の考え方としている。

 いりさわ・ひろゆき 1960年、前橋市生まれ、慶応大卒。84年群馬銀行入行。所沢支店長、熊谷支店長、総務部長、総合企画部長、常務取締役などを歴任し、2022年6月より現職

■「感動」で差別化図る 石川建設社長 石川雅之氏
 建設業界は価格の高騰が激しく、コスト競争だけでは経営は成り立たない。他社との差別化を図り、価格以外でも選んでもらえる取り組みとして、「感動戦略」を今期のテーマに掲げた。
 具体的には「建物を建てる前にデジタルで見える化する」と「メンテナンス体制」。平面図で建物をイメージするのは非常に難しいため、最初にデジタルでリアルに再現する。イメージしやすく、お客さんに非常に喜んでもらえる。また、メンテナンスとリフォームの専門部署がサポート体制を敷いている。
 この二つをしっかりアピールすることと、首都圏事業の拡大が当社の成長戦略と考えている。

 いしかわ・まさゆき 1964年、太田市生まれ。大学卒業後、大手建設会社勤務を経て石川建設に入社。関東一円を営業エリアとして拡大し、2014年から現職。19年から太田商工会議所副会頭

■多様な要望に応える ボルテックス社長兼CEO 宮沢文彦氏
 不動産の区分所有、小口商品化に取り組んでいる。今秋には超高級マンションのタイムシェアを始める。一部の富裕層しか手が届かないものを小口化して形を変えることで、さまざまな人の手に届くようになる。
 不動産以外の事業では、Vターンシップという在籍型出向の人材育成に取り組んでいる。自社のキーマンを他社に出向させると、短期間でも新たな価値観や考え方が身に付き、見違えるようになる。中小企業ではこういう機会がなかなかないので、そのマッチングをしたい。
 さまざまな企業や個人と協働し、働き方の多様化についていろんな可能性を探りながら自分たちの成長を実現したい。

 みやざわ・ふみひこ 1965年、前橋市生まれ。89年に大学卒業。証券会社経験後、不動産会社で営業部長として不動産コンサルティングなどを手掛ける。99年にボルテックス設立

■連携深め地域活性化 JR東日本高崎支社長 樋口達夫氏
 成長戦略は三つある。一つはJR東日本グループ内の連携。鉄道をはじめホテルや駅ビルなどの事業がある。少子高齢化、人口減少社会の中で、連携を深める必要性を感じた。まずはJREポイントを中心にデータを整え、精度の高いデータマーケティングを進める。
 二つ目は地域との共創。例えば、鮮度が求められる農産物などを新幹線で運んで食べてもらい、アピールする。それが観光誘致につながる。
 三つ目はインバウンド。オーバーツーリズムになっているエリアもあるが、群馬は余力がある。温泉文化の無形文化遺産登録やリトリートの聖地を目指している県と一緒になって盛り上げていければ。

 ひぐち・たつお 1967年、茨城県生まれ。東京大卒。91年にJR東日本に入社し、新潟支社総務部長、本社マーケティング本部戦略・プラットフォーム部門長などを歴任。6月から現職

【メッセージ】
◎新社屋で自由な発想 ジャオス社長 赤星大二郎氏
 SUV車向けカスタムパーツなどの企画から製造、販売までを手掛けています。昨年は世界で最も過酷なオフロードレースとして知られる「BAJA1000」に参戦しました。今秋竣工した新社屋は、開発から製造まで一気通貫可能な1Fと、オフィスやミーティングルーム、そしてカフェスペースによってコミュニケーションが自然に生まれる2Fを設けました。この新社屋が自由でクリエイティブな発想が生まれる拠点となり、かつ地域の雇用にも貢献したいと考えています。

◎「投資」政策を後押し 野村證券高崎支店兼太田支店支店長 梶田明宏氏
 2024年からは、現行のNISA(少額投資非課税制度)枠が1800万円まで拡大され、個人投資家数と投資額を倍増させる計画も発表されています。野村證券は、この「貯蓄から投資へ」という政策を全面的に後押しいたします。家計金融資産の半分以上を占める現金・預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元され、家計の資産形成とさらなる投資や消費につながるという好循環を実現させることで、日本と当社の成長に寄与いたします。

次回は11日掲載

23.10.04 上毛新聞掲載はこちら

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GIAキックオフイベント 事業成功の秘訣語る  
前橋  CEOの小野里さん、田中さん

202305/27

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2023」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)のキックオフイベント「群馬イノベーション会議」が26日、前橋市の昌賢学園まえばしホール(市民文化会館)で開かれた。店舗スタッフがネット上で商品説明して販売する仕組みを構築した「バニッシュ・スタンダード」(東京都)CEO の小野里寧晃さん(同市出身)が 登壇。GIA実行委員長の田中仁さん(ジンズホールディングスCEO)と起業の考え方について語り合った。
 小野里さんは「リアル店舗を救うDX」と題し、自社の事業を紹介。衣服などリアル店舗で接客するスタッフがECサイトに商品説明を添えて投稿し、商品が売れると販売スタッフや所属店舗の売り上げに計上されるビジネスモデルを説明した。
 トークセッションで田中さんから事業 成功の秘訣(ひけつ)を問われた小野里さんは「好きなことをやるのは大前提。全員がウィンウィンになる形 を描いた」と強調。田中さんは「みんな失敗を怖がるが、前例がないことにチャレンジし活力を持ってやると面白い」と話した。
 経営者ら約250人が参加し質疑応答も行われた。
 GIA2023は7月15日~9月8日にエントリーを受け付ける。1次、2次審査を経て10月28日に前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋でファイナルステージを開催する。
(文 関坂典生、写真 大橋周平)

23.5.27 上毛新聞掲載はこちら

メディア掲載情報

群馬イノベーションアワード2次審査
18組ファイナル進出

202110/24