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GIA2022 トップ座談会①

202210/26

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と特別協賛社、パートナー企業によるトップ座談会(全6回)が、前橋市の上毛新聞社で行われた。テーマは「イノベーションの先にあるもの」。第1回は座長の田中仁ジンズホールディングスCEOら11人が、変革の先に目指す未来や目標、取り組みについて意見交換した。

■社長自ら「本気」に ジンズホールディングスCEO 田中 仁氏
 20年前に眼鏡の販売を始めた。変化の激しい世の中で「今のままで生き残れるのか」と危機感を持っている。これまでもデジタルを活用し改革を進めてきたが、本質的なイノベーションは見いだせていない。
 もう一度、初心に戻り「ベンチャースピリット」を取り戻そうと、現在のオフィスから東京・神田の再開発で取り壊しが決まっているビルに移転する。組織は大きくなるにつれ「誰かがやってくれるだろう」という考えの人が増える。そんな時こそ、社長自ら「本気」にならなければ社員に響かない。イノベーション以前に「どんな会社にしたいのか」と、社員一人一人が問うことが必要だ。

 たなか・ひとし 1963年、前橋市生まれ。88年にジェイアイエヌ(現ジンズホールディングス)を設立、2001年、アイウエアブランド「JINS」を開始。14年、起業支援・地域振興を目的に田中仁財団を設立

■社員や地域に笑顔 冬木工業社長 大竹 良明氏
 ビルなどの総合建築と建物の梁(はり)や柱となる鉄骨製造の2本柱でやっている。大規模な建設会社でも自社で鉄骨がつくれるところはほぼなく、そこが強みだ。GIAには初回から参加し、今年は区切りの10回目。私も60代に入り、自分に対してもイノベーションを起こしていかなければと思っている。
 どんなに人工知能(AI)が進化しても「人」を中心に据えた経営を信念にしている。建設現場のIT化を進めているが、それが本来の目的ではない。デジタルを活用することで仕事をしやすくし、社員が幸せになることが重要だ。イノベーションの先に、社員や顧客、地域の人々の「笑顔」をつくりたい。

 おおたけ・よしあき 1960年、安中市生まれ。大学卒業後、19年間の銀行勤務を経て、2003年に総合建設の冬木工業に入社。08年から現職。県鐵構業協同組合理事長、全国鐵構工業協会副会長

■長く働ける環境を エムサロン社長 前原 弘隆氏
 美容室を前橋、高崎、伊勢崎に5店舗展開している。元々は流行の発信地・原宿で美容師をしていた。10年ほどして地元に戻り、店舗経営に携わるようになった。来年で20周年になる。
 美しさの定義は時代の変遷と共に変わり続けていくが、人の手の温もりを感じるサービスは普遍的な価値があると考えている。今、美容師のなり手は減少しているが、長年美容業界に携わってきて「人を美しくする」素晴らしい仕事だと誇りを持っている。美容師が長く働ける環境をつくりたい。今はSNSの発達により地方でも集客できる時代になった。エムサロンを群馬で一番愛される美容室に成長させたい。

 まえはら・ひろたか 1975年、大泉町生まれ。美容専門学校卒業後、原宿のヘアサロンに入社。数多くのトレンドヘアスタイルを手がける。2002年、エムサロン開業。県内にトータルビューティーサロン5店舗を展開

■主体的に行動、参画 グルメフレッシュ・フーズ社長 松本 健氏
 前橋で食品製造をしている。主に、群馬名物のもつ煮やホルモン焼きをスーパーマーケットや飲食店に卸している。
 ここ数年、原材料費や人件費が上がり苦しい状況が続いている。コストカットや業務の効率化を図り、なんとか売り上げ目標を達成してきた。イノベーションを起こしたいと思っていても、いきなり大きな改革は難しい。小さな変化の積み重ねが大きな変革を起こすと思う。社員自ら「お客さまファースト」の目標を掲げ、正面玄関の清掃を徹底するなど行動につなげた。イノベーションの先にあるのは「一人一人が主体的に行動し、参画できる力を持つこと」だと考えている。

 まつもと・たけし 1971年、前橋市生まれ。大学卒業後、98年にグルメフレッシュ・フーズを設立。「安心とおいしさをまごころこめて」を理念としている。2017年、グロービス経営大学院にて経営学修士を取得

■動脈産業の一助に 群成舎取締役イノベーション事業部長 芝崎 友哉氏
 「ビジネスで環境問題を解決する」をテーマに、高崎で事業を営んで65年になる。リサイクル事業や建物管理、水の力で電気をつくる事業なども展開。近年は従業員も増え、若者に興味を持ってもらえる業界になったと感じている。
 製造業を動脈に例え、産廃処理などの裏方の仕事という意味で、リサイクル業は静脈産業と言われている。この業界は人の力に頼る面が大きく、イノベーションが遅れている。人件費の増大は製造業の産廃処理コストに影響してしまう。デジタル技術を取り入れることでコストを削減し、製造業活性化、経済活性化の一助になりたい。いずれは、力のある業界に育てたい。

 しばさき・ともや 1985年、高崎市生まれ。大学卒業後、市川環境エンジニアリングで環境保全に関わる事業開発に従事。2016年、同社を退社。大学院で経営学を学び、修士課程在学中、M&Aを研究。19年から現職

■「群馬のため」尽力 第一生命保険群馬支社長 野田 強氏
 群馬に着任して3年半。「群馬のために何をしたらいいか」と自分なりに考え、行動してきた。
 県内には群馬、太田の2支社があり、千人近くの従業員が働いている。9割以上が群馬で生まれ育ち、現在生活している。弊社は全国組織ではあるが「第一生命保険群馬販売株式会社」だと考え、群馬の利益のため、ここで生きる従業員の生活の質向上のためにも尽力している。さまざまな地域貢献活動に加え、県内27市町村と子育て支援等で協定を結んでいる。「群馬活性化の一助に」と、GIAに初めて参加させていただいた。機関投資家として地域のために有効な投資を進めていきたい。

 のだ・つよし 1964年、東京都杉並区阿佐ケ谷生まれ。大学卒業後、第一生命に入社。佐世保、宮崎にて6年間支社長職を務め、2019年から現職。「一生涯のパートナー」として地域社会のための貢献活動を積極的に推進

■顧客と語り合う場を 永井酒造社長 永井 則吉氏
 川場村で136年、酒蔵を営んでいる。現在、日本酒全体の市場は縮小し、出荷量はピーク時の4分の1に減少した。弊社は「スパークリング日本酒」「ビンテージ日本酒」「水芭蕉 アーティストシリーズ」の3本柱で、日本酒の価値概念を変える挑戦をしている。
 コロナ下は、飲食店で酒を飲んでもらえない期間が続いた。本来、酒は人をつなぐ存在。お客さまともっとつながりたいと思う中で、医療用アルコールの製造ができたことは喜びだった。県民の皆さまが飲み支えてくれたことも感謝している。これまで以上に本気でお客さまと向き合うため、社内にテイスティングサロンを作り、語り合う場にしたい。

 ながい・のりよし 1972年、川場村生まれ。95年に永井酒造に入社。専務取締役工場長を経て2013年から現職。世界基準を設定した「awa酒協会」を16年に設立し、理事長を務める。会員酒蔵は30社に上る

■利益で社会に貢献 花助社長 小林 新一氏
 前橋で「花助」というフラワーネットワークを運営している。全国の花屋130店舗と事業提携を結び、地域を問わず花を届けている。GIAには第1回大会から登壇者として参加。その経験が、現在の会社の骨格をつくったと思っている。
 以前、ジンズの田中氏から「花助は社会に何を提供する会社なんだ」と問われたことがある。それがきっかけとなり「前橋の花屋」という意識から、全国を相手にするフラワーネットワークであるという覚悟ができた。「何を社会に提供するか」を考えることで、ターゲットの顧客や提供するものの価値が見え、利益につながった。「花助」を社会に貢献できる企業に育てたい。

 こばやし・しんいち 1972年、前橋市生まれ。米国、オランダに留学して花作りを学び、帰国後に花き農家などを経験。2005年に生花店開業。独自に構築した生花店ネットワークで花を届けている

■社員の挑戦を評価 美喜仁社長 坂入 勝氏
 すし店を桐生と太田、高崎に5店舗、そのほか弁当店なども経営している。18年前、老舗すし店では当時珍しかった全室個室、タッチパネルのセルフオーダーシステムを導入した。業績は上がったが、急な忙しさから社員の離職が増えたこともあった。現在は「社員の笑顔を第一に」と改革に取り組んでいる。
 お客さまの笑顔をつくるのは社員であり、笑顔は利益へとつながる。社員の挑戦を評価する仕組みを整え、それが根付く社風を目指す。3年前の春には、コロナで売り上げが4割減となった。社員一丸となって改革を進めた。独自のデリバリーやテイクアウト、通販等を始め、売り上げは徐々に戻りつつある。

 さかいり・まさる 1959年、桐生市生まれ。先代が開業した美喜仁寿司に82年入社。2007年から現職。桐生、太田、高崎で「海鮮ダイニング美喜仁館」などを経営

■石窯製造の頂点に 増田煉瓦社長 増田 晋一氏
 1917年に前橋で開業した。現在、煉瓦(れんが)製造はしていないが、この地でれんがを作っていたことを伝えたいと社名は変えずにいる。25年前に「れんがだけでは食べていけない」と、主にピザの石窯製造に切り替えた。有名飲食店などで石窯の価値が認められたことで、職人の育成にもつながった。
 石窯製造の頂点を目指している。数を作るより「良いものを価値の分かる顧客に提供すること」に力を注ぐ。徹底したこだわりの石窯が造れるのは、1基にじっくり手間をかけられる小規模事業者の強みだ。また、薪(まき)を利用したグリル窯やパン窯も展開している。「れんが」でイノベーションを起こしたい。

 ますだ・しんいち 1960年、前橋市生まれ。大学卒業後、東京三洋電機・三洋電機で技術職を経て94年入社。98年5代目就任。前橋をピッツァのまちに、煉瓦のまちづくりと併せて群馬・前橋の魅力を全国に発信中

■飲食店をサポート ユナ厨房社長 五十畑 隆宏氏
 館林で飲食店向けに厨房機器の販売、施工、メンテナスを請け負っている。20年前に脱サラをし、厨房機器のリユース品販売を始めた。当初は売り上げが上がらず、お客さまの要望に何でも対応した。そこから業務の幅が広がり、店舗リフォームや内装まで手がけるようになった。
 コロナ下で売り上げは減少。取引先の飲食店を回り、ただ話を聞く日々が続いた。開店をサポートした飲食店が半年足らずで閉店するケースも見てきた。「もっと店主の役に立てないか」という思いから、コンサルタント事業を考えている。社内にキッチンを置き、開店前の店主が実践的に学べる場を提供したい。

 いかはた・たかひろ 1971年、栃木県佐野市生まれ。厨房機器大手メーカーの営業を経て2002年に起業。リユース品の販売から始まり今は開業支援からメンテナンスまでトータルサポートを手がける

◎ファイナリスト16組決まる
 10月22日に行われたGIAの2次プレゼンテーション審査で、ファイナリスト16組が決まった。ファイナルステージは12月4日、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で開催する。当日はファイナリストのプレゼンテーションのほか、10周年特別企画として実行委員によるパネルディスカッションやパフォーマンス、イノベーションマーケットが予定されている。
 GIAファイナルステージに向け、GIA2022の特別協賛社やパートナー企業のトップらが語る座談会を毎週水曜日、計6回掲載する。

22.10.26 上毛新聞掲載はこちら

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GIA2次審査 16組 ファイナル進出

202210/23

10回目を迎えた起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の2次審査が22日、前橋市の同社で行われた。書類選考の1次審査を通過した50組が独自のビジネスプランを発表し、12月4日のファイナルステージに進む16組が決まった。

◎ビジネスプラン50組が思い込め
エントリーした522組の中から選ばれた2次審査出場者たちは、食や農業、服飾、福祉など、さまざまな分野についてパワーポイントを使って3分間で発表した。
食用コオロギを用いた持続可能なタンパク質の生産や、データサイエンスを活用した農作物の安定供給の実現、コーヒーの国産化など、それぞれの思いが込もったプレゼンに拍手が送られた。4人の審査員は経営者の視点から鋭い質問を投げかけていた。
起業や第二創業を目指す「ビジネスプラン部門」は高校生の部と大学生・専門学校生の部でそれぞれ3組、一般の部で5組が選ばれた。創業から5年未満の起業家を対象にした「スタートアップ部門」は3組、創業5年以上の事業者が対象の「イノベーション部門」は2組が最終審査への切符をつかんだ。
審査員は田中仁・ジンズホールディングスCEO、鳥越淳司・相模屋食料社長、荒井正昭・オープンハウス社長、清水直樹・上毛新聞社取締役営業局長が務めた。
ファイナルステージは、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で公開で行う。10周年を記念し、実行委員5人によるパネルディスカッション、県内4高校の生徒によるダンスコラボパフォーマンス、高崎頼政太鼓の演奏など多彩な演出で盛り上げる。(中里圭秀)



22.10.23 上毛新聞掲載はこちら

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GIA2022 50組 2次審査進出

202210/08

10回目を迎える起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の事務局は7日、計50組が1次書類審査を通過したと発表した。22日に前橋市の同社で開かれる2次プレゼンテーション審査に進む。
部門別では起業や第二創業を目指す「ビジネスプラン部門」のうち、高校生の部で21組、大学生・専門学校生の部で10組、一般の部で10組が通過。創業5年未満の起業家を対象にした「スタートアップ部門」は6組、創業5年以上の事業者が対象の「イノベーション部門」は3組だった。
今年は過去3番目に多い522件のエントリーがあり、同プロジェクトに協賛する金融機関「フィナンシャルサポーター」が1次審査を担った。22日の2次審査はパワーポイントによる3分間のプレゼンテーションを実施し、実行委員長を務めるジンズホールディングスの田中仁CEOら実行委員がファイナリストを選出する。ファイナルステージは12月4日、日本トーターグリーンドーム前橋(同市)で開かれる。
(寺島努)




22.10.8 上毛新聞掲載はこちら