
- メディア掲載情報
- 2023.05.25
おからでプラスチック
相模屋食料
全国初ペレット化
豆腐・大豆加工食品を製造する相模屋食料(前橋市鳥取町、鳥越淳司社長)は24日、おからを主成分とするバイオプラスチックの開発に全国で初めて成功したと発表した。成形してプラスチック製品に加工するための原料「おからバイオマスペレット」などを販売する。多くが産業廃棄物として処理されるおからを有効利用できる利点は大きい。将来的には自社の豆腐用パッケージに活用したい考えだ。
◎将来は豆腐パックに活用
鳥越社長によると、業界最大手の同社グループは年間約5万3千トンのおからを排出。このうち6割ほどを猫砂の原料や食用、飼料用に出荷するが、3分の1ほどはコストをかけて廃棄処分している。水分が多く、変色やかびが生えやすいおからは用途が限られ、有効利用は長年にわたり業界全体の課題となっていた。
同社は、江原寛一会長の発案でプラスチック原料としての再利用を構想。乾燥させたおからを粉砕して微粒子にし、合成樹脂のポリプロピレンと混錬させた。おからの含有割合を51%にすることにこだわり、5年にわたる試行錯誤で粒状のペレットが完成した。特許出願中という。
前橋市内に約3億5千万円をかけてペレット製造ラインを整え、テスト販売を始めた。複数のプラスチック加工メーカーが関心を寄せているという。全国各地のグループ会社でも順次展開する。
ペレットを成形した商品開発にも取り組み、現在は鉢植えの「おからポット」(1400円)を同市の道の駅まえばし赤城で販売している。今後はごみ袋や農業用シートなどでの用途を研究し、安全性や強度を高めて主力商品である豆腐の容器への応用を目指す。
鳥越社長は、ペレットの製造コストの縮減や、さらなる品質向上などの課題があるとした上で「おからの有効利用は創業以来の懸案。SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも先進的な取り組みとして力を入れたい。現在の廃棄分を全てバイオプラスチック化するのが目標」としている。
(石倉雅人)
23.5.25 上毛新聞掲載はこちら