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車エビ養殖 出荷開始

202604/14

23年GIA 最高賞受賞 加藤さん(榛東)が起業

2023年開催の起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(CIA)」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)で、車エビの具内装殖を提案し最高賞の大賞を受賞した加藤徳明さん(27)が、出身地の榛東村広馬場で起業し、事業を軌道に乗せている。普殖方法の確立に向けて独学で研究を重ね、3月から本格的に飲食店への出荷を始めた。今後、販路の拡大を目指している。

「新鮮な海産物を」販路拡大目指す加駿さんは高崎高出身で今春、東大法学部を茶業した。大学2年時に高校時代の友人の「県産キャビアを作りたい」との話をきっかけに、「海なし県の群馬から新鮮な海産物を届けたい」と挑戦を決意。自身が海産物好きであることも手伝って25年3月、養殖事業を手がける「カトファーム」を設立した。

チョウザメを養殖しキャビアを生産するまでに時間がかかるため、成長が早く高単価、収益性が見込める車エビに着目した。ただ、車エビは共食いし半径30~40センチに1尾しか生息できないことから、大規模な養殖場が必要で陸上養殖は難しいとされる。

GIAの大賞受賞後、事業化に向けて効率的な養殖方法の検討を進めた。25年に6万尾購入し、自宅建物内と、近くの閉園となった幼稚園を活用して本格的に養殖を始めた。

水質管理では、化学物質を使わずバクテリアによる独自のろ過技術を用いた「完全開鎖式循環システム」を導入。24時間監視し、成長に適した酸素濃度や水温、塩分濃度の調査も続ける。経費を抑えながら最適な水質を整備し、砂を敷いて海の環境を再現。栄養価の高い飼料を与え、日光を遮断して車エビのストレスを抑えて共食いを減らし、効率的な飼育環境をつくっている。

魚の養殖と水耕栽培を組み合わせた循環型農業「アクアポニックス」にも取り組む。車エビのふん尿を肥料にしてシーアスパラガスの栽培に成功。海ブドウやコンプ、ヒジキといった海薬にも広げる考えだ。

昨年、県内の飲食店のシエフや卸業者を招いた車エビの試食会を開催。「うまみが凝縮され、味がきめ細かく上品な味わい」と評価されたという。一般的に5ミリ程度から、7~8カ月かけて15センチ程度に成長させて出荷するが、10センチ程度がうまみや甘みが強く殻も柔らかいと引き合いがあり、飲食店への出荷が決まった。養殖期間が半年以内と短くなるため、管理の負担の軽減にもつながる。

加藤さんは車エビだけでなくカキやアワビ、ウニにも応用できるとし、組み合わせて収益性を高めることを念頭に置く。「どこでも海産物を生産し続けられるシステムを作ることが目標。群馬の新しい名産にし、日本の食文化を世界に発できるよう生産体制を確立したい」と見据える。
(林哲也)

26.04.14 上毛新聞掲載はこちら

掲載日
2026/04/14