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「できる」と信じ全力で
相模屋食料
鳥越 淳司社長
202209/24

コロナ前からの傾向として、世界的にプラントベースフード(植物性食)が注目され、豆腐を中心とした大豆加工食品には大きなチャンスが訪れている。豆腐のヒット商品が生まれているのも、消費者の間で「ヘルシー」や「SDGs(持続可能な開発目標)」といったことへの意識が高まっているからだろう。
一方、業界全体を見ると厳しい現状となっている。原材料価格の高騰などを背景に、事業が立ち行かなくなる豆腐メーカーが増えており、かつては国内に5万3000軒を超えていたメーカーが、今では10分の1程度の約6000軒にまで減った。年間500軒から1000軒が消えている状況だ。
業界トップの相模屋としては豆腐文化を守るため、疲弊したメーカーを再建する「救済型M&A」を進めている。これまでに8社をグループ化し、全てを黒字化した。
グループ化したうちの多くは独自の技術や地域の特産といった「オンリーワン」の強みを持っている。それ以外の不採算の部分に見切りをつけ、既存設備と既存人材を活用しながら、その強みを伸ばす手法で救済に取り組んでいる。
メーカーを再建することは、各地の豆腐文化を発掘し、守り、育てることにつながる。さらには各メーカーが積み重ねてきた製法や技術を礎としながら、新たなアイデアを加えた新商品を世の中に送り出すこともできる。
大ヒットした「うにのようなビヨンドとうふ」が良い例といえる。グループ会社のノウハウを結集し、そこに相模屋が培ってきた手法を組み合わせて完成させた。相模屋の経験や技術だけでは、ここまでウニの味を再現した商品を作ることはできなかった。
GIAに挑む若者に対する助言としては、何かに挑戦しようとするときに「できると信じて、全力で突き進む」ということ。成功するかどうかを気にし始めると、誰でも及び腰になりやすい。やるからには「できる」と自分を信じて全力で取り組んでほしい。失敗は気にしなくていい。
もう一つ「準備に時間をかけ過ぎない」ということ。世の中はものすごい勢いで動いている。完璧を目指そうとすると時間がかかってしまうため、時代の流れに乗り遅れてしまうこともある。100%を求めるのではなく「これなら行ける」と思った段階で、まず一歩前に踏み出してみることが必要だと感じている。
22.9.24 上毛新聞掲載はこちら