市立太田高3年 藤井ミレナさん 太田直輝さん
学校周辺の耕作放棄地に着目し、定年退職後の生きがいで農業に挑戦できるシステム「アグRe:Start」を発表した。農地を貸し出し、利用者が自由な大きさの農園で気軽に作業ができる。
自分たちの学校で商業を学ぶ生徒も協力し、収穫された作物の販路を確保する。耕作放棄地の解消だけでなく、住民同士の触れ合いによる地域活性化も期待。
2人は「プランの磨き上げは自分の力になった」と晴れやかな表情を見せた。
太田東高2年 川島一翔さん 江本陽哉さん
被災地で復旧ボランティアに参加した経験から、災害から年月がたった被災者の暮らしを支援する重要性を実感。被災者のニーズを支援者に直接届けるアプリ「絆」の事業案を発表した。
必要な物資を必要なタイミングで送ることができるほか、被災者のニーズをデータベース化して災害時の需要予測といった新たなビジネスの創造や海外展開の可能性も感じている。
2人は「心と心をつなぐ事業にしたい」と笑顔を見せた。
県立前橋高1年 中沢陽さん
体験型観光へのニーズと、本県の景色や食など「ありのまま」の素材の潜在力の高さに着目。旅行者を誘客する観光ガイド製作事業を提案した。観光客に本県での体験を寄せてもらって小冊子「ZINE」を手軽に製作し、国内外に魅力を発信すると発表した。
「群馬が好き」という気持ちを同世代にも持ってほしいという思いが出発点。「入賞を逃し、悔しい」と目を潤ませたが「会社を興し事業に取り組みたい」と早くも前を向く。
群馬大2年 伊藤裕喜さん
モバイル端末で手軽に気軽に野菜を育て、実際にそれが手元に届く育成ゲームと宅配サービスを掛け合わせたアプリ「たまZON」を提案した。
アプリ内で課金し、手に入れた種をまくと、現実世界で生産者が栽培を開始。送られてくる写真で成長過程を観察でき、収穫後は野菜が宅配される。
「食を見直し、野菜について知ってもらうきっかけにもなる」と強調。
最後は「多くの支えによってここに立てた」と感謝した。
群馬大2年 松永晨人さん
研修医が知識や手技を動画配信などで学べるサービス「train doctor-in-training」を考案した。
研修医のスキル差を解消するのが目的。経験豊富な医師が手技や臨床知識を動画で解説するほか、研修医の質問にも答える。学びやすい環境で技術向上を目指せる点をメリットに挙げた。
「サービスで医師全員を名医にし、安心して医者にかかれる環境を構築する」と意気込んだ。
グルメフレッシュ・フーズ 松本健さん
働く女性の悩みの種である食事作りを支援するビジネスモデル「キッチン・デリ」を発表した。食品メーカーの加工技術や配送網を生かし、下処理済みの献立キットを毎日、勤務先など利用者の希望場所に設置した冷蔵庫に届ける仕組み。
自社が人手不足の中で、特に忙しい子育て中の女性社員に着目。買い物時間の約30分を短縮することで「ゆとりの時間で女性が笑顔になれば、企業の働き方を変える力になる」と力強く語った。
TAGO STUDIO 多胡邦夫さん
レコーディングスタジオの適正なバランスの音が再現できる密閉型ヘッドホン「T3-01」を提案した。
既存のヘッドホンは低音や高音を強調した〝ジャンクフード〟のようなものが多いと感じ、音のプロが作った音をそのまま届けたいと、高崎市内の製造会社と2年かけて開発した。
国内だけでなく、10月にはヨーロッパでも発売。「今回の発表は自分と向き合う機会になった。涙があふれるような音楽を届けたい」と力強く語った。
コルシー 堀口航平さん
生まれ育った高崎市で今年1月に起業した。全国の医療機関と循環器内科専門医師を遠隔でつなぎ、精度の高い心電図検査をサポートしている。
県内外にある医療機関と連携し、県内在住の専門医が人手不足の医療機関から送られてくる心電図を診断。先月までに約1万6000人分を扱った。
救急車と連携した素早い診断体制の構築も考えている。「実現には自治体の力も必要」と、発表の場で支援を呼び掛けた。
BMZ 高橋大悟さん
靴による保護で、現代人の筋肉量が低下し歩行障害となるなど、足の機能を巡る問題が増える中、履くだけで改善効果があるインソール(中敷き)の開発・販売を提案した。
長い距離の荷物を運んだ飛脚が使っていた草履をイメージ。足指で地面をつかむことで足の機能トレーニングになるという。
産学官連携で効果を検証しており、販売目標は200万人。「足を継続的に鍛えれば、多くの人が一生健康に歩ける」と話した。