群馬県立前橋商業高3年・3年 中沢 千鶴さん 布施 龍賢さん
国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」に基づく事業計画と位置付け、店舗が通常廃棄している売れ残り品や規格外商品を消費者に届ける食品ロス削減アプリ「Food Map」を提案した。
アプリでは登録会員と店舗を結び付ける。利用者が安価に商品を購入できる一方、店舗側は廃棄費用を削減できる仕組みをつくるとした。
2人は「食品ロスに関心を持ち続けたい」と満足そうに話した。
群馬県立前橋女子高2年 河野 華子さん
中高生がネーティブスピーカーと気軽に話せる「中高生留学支援アプリ」を考案。短期留学した際、会話ができなかった悔しさがアイデアにつながった。
低価格と会話内容の見える化が特長。会話を録音、文章化し、添削することで改善点が見えてくる。会話相手と添削者の収入源になる利点もある。
入賞を逃し、「既存サービスとの差別化が難しかった」と反省。「教育格差などをビジネスで変えていきたい」と志を語った。
中央情報経理専門学校1年 伊藤 チアさん
うつ病などの精神疾患の人が再び立ち上がれる環境をつくろうと、在宅ワークで社会復帰を手助けするプログラムを発表した。
会員制サイト「RE:Arize(リアライズ)」では、症状に合わせた在宅ワークの紹介のほか、ハンドメイド講座やネットショップの代理運営、ビデオ通話などでの医師の心理検査も行う。
「ハンドメイドの販売をするうつ病だった友人もいる。実現できるよう課題を克服していきたい」と語った。
共愛学園前橋国際大3年 ラメザニ アイディーンさん
障害者や高齢者にも広がるeスポーツの専用ジム「eGG」を開設し、本県を「eスポーツの聖地」にすることを目標に掲げた。
月額会員制でスポーツジムのように明るく開放的な空間とし、全てのeスポーツに対応できるよう、家庭用ゲーム機や仮想現実(VR)機器などを設置し、車いすでも利用できる施設をつくる。
「遊びではなく、学びや競技としての認知が広がるよう、ジムの開設に挑戦していきたい」と意気込んだ。
nunology 山田 俊介さん
がん手術でリンパ節を取り除くなどした後に発症するリンパ浮腫。その患者の滲出(しんしゅつ)液ケア用品に、肌に優しい綿製品を提案した。
リンパ液がたまると体がむくみ、皮膚の表面からにじみ出る。ただ、多くの患者はペット用シートなどで代用しているのが現状だ。亡き妻が卵巣がんで闘病した際、やりきれなさを覚え、人間の尊厳があるのかと疑問に感じた。「商品化へ向けて動きだしている。みとりの現場を変えたい」と話した。
丸山法律事務所 丸山 彬さん
全国の夫婦同士が気軽に相談し合えるアプリ「Fu-Fu(フー・ウ・フー)」を提案した。似た悩みを持つ同性会員を検索し、最適な相手とアプリを通じて相談する仕組み。弁護士として多くの離婚相談を受け、小さな擦れ違いの段階で問題解決できればと願う。
夫婦間の悩みや行動データの蓄積の必要性にも着目。「プライバシーに関わることなのでデータがあまりない。情報の集積で新たなサービスが生み出せる」と展望した。
Dream Assort 新井 舞さん
脱毛症の子どもを育てている自身の経験を基に考案した小児用ウイッグ(かつら)を発表した。
脱毛症は国内人口の1~2%で発症し、そのうち4分の1に当たる35万人が15歳未満という。開発した製品は国産の人工毛を使うため手入れがしやすく、価格も他社製品の約10分の1に抑えられる。
今回の結果について悔しさをにじませたが、「海外も含め子どもが喜ぶ商品を販売していきたい」と語った。
株式会社ファントム 石井 伸和さん
医療や介護の現場の人手不足を支援する人工知能(AI)搭載カメラ「Casper(キャスパー)」を提案した。
撮影した映像から人の行動をAIが解析。事前の行動予測や変化の検知もできる。人手不足が深刻化する医療・介護業界の業務効率化につながるとみる。
「初めて大きな会場で事業計画を発表した。緊張はせず、全部出し切った」と振り返り、「事業の成長を目指し仕事に集中したい」と前を向いた。
株式会社エスアールケイ 関 良則さん
新たな宿泊形態を提供する「温泉ゲストハウス」計画として、「暮らすように泊まる」という連泊滞在型を発表した。「手厚いもてなしで仕事を忘れてのんびり」といった温泉旅館の固定概念を打ち破る旅館像とした。
計画には、共用で使えるコワーキングスペースの設置や、シェアキッチンで他の客と交流など、七つの戦略を盛り込んだ。
中之条・四万温泉で旅館を営んでおり、「四万の新たな魅力をつくる」と来秋の開業を目指す。
アルケア株式会社 原田 悠平さん
従業員の親に運動を促し、介護を理由とした離職を減らす事業「ロコモバトン」を提案した。来社してもらって測定し、体に合った運動メニューを提供。定期的な電話サポートで体操の継続を後押しする。「今の日本を築いた高齢者の笑顔と、現役世代が仕事に集中できる環境をつくる」と訴えた。
今後増加が懸念される介護離職は事業者にとって大損失と考え、「介護離職予防を企業の福利厚生のトレンドにする」と宣言した。