コケ活用 蒸れない靴
畳2枚分の面積で樹木275本分に相当する空気浄化力を持つコケの潜在能力に注目した。コケを活用した新素材を使って靴を開発し、環境に優しく、抗菌消臭効果があって蒸れない新商品として、世の中に送り出したいとした。
環境に配慮した靴を販売するオールバーズ、繊維業のユニチカとコンタクト。コケから靴を作るには幾つか方法があるというが、コケの成分を抽出する場合、高級不飽和脂肪酸の除去が必要になることが判明した。埼玉大理学部の長谷川登志夫准教授と連携。准教授の協力を得てリモート会議を開き、同物質を除去する実験に乗り出している。
「1年以内の商品化を目指している。選ばれるためにここに来た」「この靴と共に群馬の名を世界にとどろかせる」と力強く発表を締めくくった。
2人の出会いは1年ほど前。暗くなっても理科室に明かりがついていることに並里さんが気付き、好奇心からのぞいたところ向山さんが黙々とコケに向き合っていた。2人で力を合わせ、GIA大賞を目指して地道に取り組みを続けてきた。表彰式の最後に校名と名前を呼ばれると、会場に向かって大きく一礼。発表は話すことが得意な並里さんが前面に出るなど、適材適所でつかみ取った最高賞となった。
鉄道会社への就職がすでに決まっているという向山さん。「これからも(並里さんの)研究をサポートしていきたい」と最高の笑顔を見せた。