子ども目線でアイデアを 小中学生の挑戦可能に
高崎商科大教授 前田 拓生さん
起業家(きぎょうか)の発掘(はっくつ)を目指(めざ)すビジネスプランのコンテスト「群馬(ぐんま)イノベーションアワード(GIA)2023」(上毛新聞社主催(じょうもうしんぶんしゃしゅさい)、田中仁財団共催(たなかじんざいだんきょうさい))に応募(おうぼ)してみませんか? 11回目(かいめ)となる今年(ことし)は、初(はじ)めて小中学生(しょうちゅうがくせい)も挑戦(ちょうせん)できるようになりました。高崎商科大(たかさきしょうかだい)の前田拓生教授(まえだたくおきょうじゅ)に「イノベーションって何(なに)?」「ビジネスプランってどう考(かんが)えるの?」といった疑問(ぎもん)を分(わ)かりやすく解説(かいせつ)してもらいました。
【Q】イノベーションって何ですか。
【A】技術組み合わせ 新しい価値生む
イノベーションと聞(き)くと、ゼロから何(なに)かを生(う)み出(だ)すイメージがあるかもしれません。この言葉(ことば)を定義(ていぎ)した経済学者(けいざいがくしゃ)のヨーゼフ・シュンペーターは「新結合(しんけつごう)」という意味(いみ)を持(も)たせています。
新結合(しんけつごう)とは、今(いま)あるものや仕組(しく)み、技術(ぎじゅつ)をこれまでにない形(かたち)で組(く)み合(あ)わせ、新(あたら)しい価値(かち)を生(う)み出(だ)すことです。「1+1」が単(たん)なる2ではなく、10や50、100になる組(く)み合(あ)わせを考(かんが)えるのです。
代表的(だいひょうてき)なイノベーションは蒸気機関車(じょうききかんしゃ)(SL)でしょう。馬車(ばしゃ)で荷物(にもつ)を運(はこ)んでいた人々が、より遠(とお)くにたくさん運(はこ)びたいと考(かんが)えて生(う)み出(だ)しました。その時(とき)に組(く)み合(あ)わせたのが、糸(いと)を紡(つむ)ぐのに使(つか)われていた蒸気(じょうき)の力(ちから)と馬車(ばしゃ)の仕組(しく)みです。
蒸気(じょうき)の力(ちから)を馬車(ばしゃ)の動力(どうりょく)に代(か)えることでSLが生(う)まれたのです。このように組(く)み合(あ)わせ次第(しだい)で、これまでになかった新(あたら)しいもの、アイデアを生(う)み出(だ)せる可能性(かのうせい)があります。
【Q】ビジネスプランって どう考(かんが)えるの?
【A】やりたいことから始める
難(むずか)しく感(かん)じるかもしれませんが、実(じつ)は「自分(じぶん)がやりたいこと」を考(かんが)えればいいのです。自分(じぶん)が魅力(みりょく)を感(かん)じることなら、他(ほか)の人にも響(ひび)く可能性(かのうせい)があります。自分(じぶん)のやりたいことをみんなが楽(たの)しめたり、使(つか)えたりするサービスや仕組(しく)みになるよう考(かんが)えてみましょう。
まず、自分(じぶん)がやりたいことを見(み)つけます。例(たと)えば「遊園地(ゆうえんち)に行(い)きたい」。さらに深掘(ふかぼ)りしてみると、「ゴーカートで遊(あそ)びたい」と、より具体化(ぐたいか)することができます。
今度(こんど)は、遊園地(ゆうえんち)に行(い)かないと、本当(ほんとう)にゴーカートで遊(あそ)べないのかを考(かんが)えます。もしかしたら、身近(みぢか)に代(か)わりになるものがあるかもしれません。椅子(いす)の脚(あし)に車輪(しゃりん)を付(つ)けたり、自由(じゆう)に操縦(そうじゅう)できるハンドルを備(そな)えたりしたら、家(いえ)でも遊(あそ)べるゴーカートの完成(かんせい)です。
さらに楽(たの)しくなるように工夫(くふう)してみましょう。椅子(いす)の脚(あし)の長(なが)さを変(か)えて安定感(あんていかん)をなくせばスリル感(かん)が出(で)るかもしれません。自動走行(じどうそうこう)できるように何(なに)か動力(どうりょく)になりそうなものを見(み)つけるのも面白(おもしろ)いですね。
このように何(なに)かと何(なに)かを組(く)み合(あ)わせ、機能(きのう)を付(つ)け加(くわ)えたり、削(けず)ったりしながら、新(あたら)しい遊(あそ)び道具(どうぐ)を生(う)み出(だ)せたのなら、それはイノベーションによる商品(しょうひん)と言(い)えます。
小中学生(しょうちゅうがくせい)の皆(みな)さんの柔軟(じゅうなん)な発想(はっそう)が、大人(おとな)を驚(おどろ)かせるビジネスプランになる可能性(かのうせい)を秘(ひ)めています。ぜひ挑戦(ちょうせん)してみましょう。
◎GIA募集要項
小中学生(しょうちゅうがくせい)が応募(おうぼ)できるのは、ビジネスプラン部門(ぶもん)の高校生以下(こうこうせいいか)の部(ぶ)です。ビジネスプラン1件(けん)につき2人までエントリーできます。資金調達(しきんちょうたつ)の方法(ほうほう)はクラウドファンディングなど思(おも)い付(つ)く範囲(はんい)で構(かま)いません。対象(たいしょう)は県内出身者(けんないしゅっしんしゃ)か在住(ざいじゅう)、在学者(ざいがくしゃ)。9月8日まで。
9月中旬(ちゅうじゅん)に1次書類審査(じしょるいしんさ)、10月7日に2次(じ)プレゼンテーション審査(しんさ)を行(おこな)い、ファイナリスト15組程度(くみていど)を決(き)めます。ファイナルステージは10月28日に前橋市(まえばしし)の日本(にほん)トーターグリーンドーム前橋(まえばし)で開催(かいさい)します。
参加希望者(さんかきぼうしゃ)はGIAホームページ=QRコード=から申(もう)し込(こ)みます。問(と)い合(あ)わせは上毛新聞社営業局事業部(じょうもうしんぶんしゃえいぎょうきょくじぎょうぶ)(☎027・254・9955、平日午前(へいじつごぜん)9時(じ)~午後(ごご)5時(じ))へ。