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本県で海産物養殖提案 
加藤さん(東大)大賞 
15組が独創的プラン

202310/29

 11回目を迎えた起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2023」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)のファイナルステージが28日、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で開かれた。最終審査に臨んだ15組が、社会課題の解決に向けた独創的な事業プランを発表。ビジネスプラン部門の大学生・専門学校生の部で出場し、本県で海産物の新たな養殖方法を提案した東京大4年の加藤徳明さん(24)=榛東村出身=が最高賞の大賞に輝いた。
 応募485組の中から2回の審査を通過した中学生から社会人までが、熱のこもった3分間のプレゼンテーションをした。協賛社に加え、今回初めて来場者の投票を実施。投票を参考に、慶応大の国領二郎教授らが審査した。関東経済産業局長賞にC&Fマーケティング(高崎市)の佐藤栄寿さん(50)が選ばれた。
 ビジネスプラン部門は、高校生以下の部で伊勢崎商業高3年のターイーバ・サディアさん(17)と同2年の星野士夢( しおん )さん(16)、大学生・専門学校生の部で共愛学園前橋国際大3年の出井樹利亜さん(21)、一般の部でTrait ̄鼓膜温ラボ(長野県)の坂本博明さん(51)、昨年までのスタートアップとイノベーションを統合したベンチャー部門はブラックマウンテンズ(高崎市)の岡田康弘さん(41)がそれぞれ入賞した。今後の成長が期待できる新設の奨励賞には、ぐんま国際アカデミー中等部3年の鈴木聡真さん(15)と同1年の鈴木杏さん(13)が選ばれた。
 式は東京農大二高吹奏楽部によるマーチング演奏で開幕。発表後とエンディングにもパフォーマンスを披露し、会場を魅了した。クリエーティブディレクターでGO代表の三浦崇宏氏が「発想と実装で現実を動かす―超クリエイティブ論」と題し特別講演した。
 実行委員長の田中仁・ジンズホールディングスCEOは式後の交流会で「起業の聖地として盛り上げていこう」とあいさつした。GIA協賛社や歴代入賞者らが35のブースを出展した「群馬イノベーションマーケット」も開かれた。
(文 林哲也、写真 広沢達也)

23.10.29 上毛新聞掲載はこちら

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課題解決へプラン熱く

202310/29

起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2023」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)は28日、ファイナルステージに15組が出場してビジネスプランを競った。東京農大二高(高崎市)の吹奏楽部員約150人が迫力満点の演奏とフラッグ演技を披露。特別講演では、クリエーティブディレクターでGO代表の三浦崇宏さんが「前に進む力を高めてほしい」と訴えた。

【大賞】海なし県 エビ養殖挑む
 東京大4年 加藤 徳明さん 

 海なし県の群馬でクルマエビの養殖に挑む。出身地の榛東村と前橋市で9月から、高校の同級生で友人の東崎大和さん(25)とクルマエビ計千匹の育成を始めた。受賞を受けて、「とにかくうれしい。僕1人では賞は取れなかった。支えてくれた人たちに感謝したい。(事業を展開していく)決意が固まった」と熱く語る。
 海産物が好きで、本県でも新鮮で生きた状態のものを食べたいと、挑戦を決めた。養殖の方法を調べる中で、魚の養殖と水耕栽培を組み合わせた循環型農法「アクアポニックス」を知り、従来の淡水ではなく、海水でも応用できると考えた。
 同農法は、養殖した魚の排せつ物を微生物が分解してできた栄養のある水で野菜などの植物を栽培し、浄化された水を水槽に戻すシステム。4カ月で成体になり、年間で3サイクルの養殖が可能で収益性が高いクルマエビに着目した。
 「内陸養殖が世界に通用するような広がりを持っている事業だということが評価されたと思う。サーモンやヒラメ、チョウザメなど複数魚種の育成へ挑戦したい」。規模を拡大し、将来的には世界展開を見据える。

【関東経済産業局長賞】相続の手続きアプリで支援
 C&Fマーケティング 佐藤 栄寿さん

 相続の手続きは、膨大な紙の書類で行うことが一般的で「死後を悲しむ時間がないほど大変な作業」。デジタル化の遅れを課題と捉えた。団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」が目前に迫っているのを受け、手軽に手続きできるアプリケーション「キズナつなぐ(仮称)」を考案した。
 赤ちゃんの予防接種スケジュールを管理する既存のアプリに着想を得た。開発したアプリには、必要書類や提出窓口、進捗(しんちょく)状況を一目で確認できる画面や、相続人同士のトラブルを回避するためのアドバイスを通知する機能などを備える。「誰一人取り残さない」という考えから、アプリは相続人の間で同期でき、内容を共有することが可能だ。
 将来性の高い市場として目を付けており、既にビジネスモデルの特許を取得済み。金融機関をはじめ、相続に関連する広告を表示させるシステムを導入するなど、本格的な実装を見据えた動きを進めている。
 50歳で起業に挑戦した。「相続の問題は家族間のトラブルに直結する。手続きのデジタル化を促し、『大相続時代』の到来に向けて家庭の絆を強くしたい」と意気込む。

【ベンチャー部門入賞】

◎企業連携商品で難民の教育支援
◆奨励賞◆
 ぐんま国際アカデミー中等部 鈴木 聡真さん(3年) 鈴木 杏さん(1年)

 きょうだいでイスラム教徒少数民族ロヒンギャの支援に励む。提案事業は、企業とのコラボレーション商品の利益の半分を、バングラデシュの難民キャンプで暮らすロヒンギャの子どもの教育活動に役立てる。
 スーパーを例に本県で消費量が多いキュウリを選定。支援金は年間約215万円と試算し、教科書や文房具を全員に配布でき、学び続けられるとする。商品パッケージのQRコードで活動報告が見られ、協力企業のイメージ向上にもつなげる。「継続して支援できるよう、事業化したい」と2人は強い思いで臨む。

◎農家と生活者飲料でつなぐ
 ブラックマウンテンズ 岡田 康弘さん

 有機栽培の野菜、果物を使ったジュース販売やヨガ教室を開くカフェ「koyomi」が、農家と生活者をつなぐ「循環型エコシステム」としての機能を果たしている。
 県内のオーガニック農家から大量の規格外野菜を仕入れることで、収入増に貢献。一方、地域の顧客は1本に2日分の野菜が入った「コールドプレスジュース」を定期購入することで、健康習慣につながるだけでなく、費用対効果の面でもお得感が味わえる。
 9月に清涼飲料水の製造免許を取得。年末にはオンライン通販、卸売りを始める予定で、「飲食店営業の対面販売から、新たに製造業に取り組む。第2フェーズに入り、さらに飛躍したい」と意気込む。

【ビジネスプラン部門入賞】

◆高校生以下の部◆
◎しょうゆ粕で肌守る
 伊勢崎商業高 ターイーバ・サディアさん(3年) 星野 士夢さん(2年)

 しょうゆを造る過程でできる「しょうゆ粕(かす)」に着目した。産業廃棄物として捨てられていたものに新たな価値を見いだし、商品化することを考案した。
 しょうゆ粕には、肌を守るバリアー成分を強化する機能があることを発見。その成分は年齢とともに減少するため、スキンケアが必要となる40代以上の男性をターゲットにした化粧品の開発を提案した。
 1年前に正田醤油(館林市)を訪ねたことが研究の発端になった。ターイーバさんの出身地であるバングラデシュや昔の日本のように、「物を大事にする精神」が事業の根底にある。2人は入賞に「自分たちが研究してきたことが評価されてうれしい。もっと発展させたい」と語った。

◆大学生・専門学校生の部◆
◎DX支援で学生派遣
 共愛学園前橋国際大3年 出井 樹利亜さん

 大学で情報系コースに所属し、デジタル化に注目する中で中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)推進で悩んでいることを知った。課題の一つの人材不足に着目し、ITやDXに関するスキルを持つ学生を大学の研究室を通して企業に派遣するサービス「TranS(トランス)」を企画した。
 派遣された学生は電子フォーマット作成やワークフロー構築などを担い、企業を支援。デジタル人材と接点が少ない企業も利用でき、採用コストやコンサル費用を軽減できるとする。学生は知識や能力を生かした就業体験ができる。学内の研究室に声をかけており、「まずは県内の中小事業と学生を結びつけ展開させたい」と展望を語った。

◆一般の部◆
◎仕事の適性 耳で見極め
 Trait_鼓膜温ラボ 坂本 博明さん

 製造現場などで働く人のストレスを見極める鼓膜温センサーを活用し、持続可能な労働力の確保を提案した。人材が多様化する中、個人が働きやすい環境に配置して、従業員の定着や生産性向上が期待できる。
 鼓膜温センサーは、耳の温度で体への負担を指標化する。作業者は生体データから仕事の適性が分かり、管理者は作業者の状態を把握できる。作業効率を上げて労働力不足を補う。
 着想は製造現場の管理部門で働いた経験からだ。作業員個人の特性に合った仕事を割り当て、いかに負担を減らして効率を上げるか20年近く考えてきた。
 「長くこだわってきた研究が報われた。実用化に向けてセンサーの精度を高めたい」と受賞を喜んだ。

23.10.29 上毛新聞掲載はこちら

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創造と改革

202310/29

【ファイナリストプレゼン】

◆ビジネスプラン部門◆高校生以下の部

▼県立前橋高2年 小野 瑛太さん、村田 佳成琉さん
 表情から感情を察知して気分に合わせた音楽を再生する「空気を読むAI(人工知能)」を考案し、「KI」と名づけた。
 高齢化や未婚率の上昇に伴い、単身者が増加している。孤独による心身の健康問題が社会課題となる中、能動的に話し相手になり、体調不良時の対応もできる、人に寄り添うAIを目指している。
 2人は科学物理部の同級生。「実用化に向け、技術面を改善していきたい」と先を見据えた。

▼前橋東高2年 中島 瑠香さん、村上 花音さん
 高校では禁止されているメークが、社会人になるとマナーとなる。でも実際、どのような化粧が自分に合うのか。高校生や大学生をターゲットに、悩みを解消する事業を考案した。
 メークをアドバイスする美容部員らと利用者を結ぶアプリの開発と、商業施設でのイベントを提案。メークを通じて「なりたい自分」になる手助けをする計画だ。2人は「化粧品選びも難しい。メークで悩む人に革命を起こす」と意気込んだ。

◆ビジネスプラン部門◆一般の部

▼ラティブハート 門倉 紀子さん
 国内で2人に1人ががんになる現代。患者第一主義を信条に、看護師を30年間務めている経験から、がん患者に寄り添ったケアの必要性を伝えた。
 自身の知見を生かし、①患者や家族に向けたオンラインカウンセリング②医療者や学生に患者の声を届けるセミナー講師③抗がん剤による不妊のサポート―に取り組む計画。「自分を責めたり引け目を感じたりしない社会を、群馬から世界へと広げたい」と語った。

▼いちもん 木下 隆介さん
 「かけがえのない日本の食を残したい」。飲食店のレシピを職人の腕と冷凍技術で再現し、思い出の味をいつでも提供できる共創を考案した。
 サービスと消費が同時に行われる飲食業は、経営が難しく後継者不足に直面すると指摘。いちもんの強みを生かし、逸品の味を損なわず冷凍食品にして提供する案を掲げた。各店舗の経営の手助けもできるとした。「技術の発展で食品への思いを継承したい」と語った。

◆ビジネスプラン部門◆大学生・専門学校生の部

▼高崎商科大3年 菅野 航平さん
 新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、不要になったアクリル板に着目。若者を中心に人気を集めるアクリルスタンドに加工して販売する事業を発表した。
 アクリル板の廃棄が増加していると指摘。企業などから回収することで原材料を確保でき、環境問題の解決にも寄与できると訴えた。「コロナで日常にあふれていたアクリル板が、別の形になって活躍するチャンス。特別感のある商品を届けたい」と力を込めた。

◆ベンチャー部門◆

▼つばさ公益社 篠原 憲文さん
 誰もが安心して旅立てる社会を目指し、経済的な負担の少ない葬儀を提案した。
 参列人数や通夜と告別式の有無に応じて、さまざまな価格の葬儀プランを用意。スマートフォンを活用した店舗運営で固定費を抑え、他社に対する優位性も確立した。
 遠隔地向けには棺や骨つぼなどを含めた「DIY葬セット」を通信販売し、低予算の葬儀を可能にした。篠原さんは「まずは群馬に拠点を持ちたい」と目標を語った。

▼NPO法人共に暮らす アジズ・アフメッドさん
 日本語が話せない、読み書きができない家族のために学校を休んで行政の手続きに行ったり、病院に付き添ったりしていた幼少期の体験を基に、日常生活に必要な情報を多言語でまとめるアプリを考案した。
 子どもたちの負担軽減、将来のキャリア形成の重要性を説いた上で、「ニッチな需要だが、外国にルーツを持つ子どもが『言葉のヤングケアラー』に陥っている現状を知ってもらえただけでも意義があった」と語った。

▼花助 小林 志保さん
 好きな人や物を応援する「推し活」に特化した花を贈るサービスを考案した。イベントやライブなど、状況に応じた最適な花を提案する仕組み。
 花助が持つ販売データやレビューデータを集約し、データベースを構築。どんな花が「推し」に喜ばれるのかを分析し、多数の候補の中から三つにまで絞って提案する。
 「まずは『推し活』に特化した花屋のネットワークを構築していきたい」と力を込めた。


【特別講演】The Breakthrough Company GO代表 三浦 崇宏氏

◎前に進む力高めて

 博報堂で10年働いた後に独立した。現在は社長をしながら、クリエーティブディレクターとして、マーケティングやブランディングの責任者の立場で企業をサポートしている。
 クリエーティブとは「想像し、創造する力」。他者の感情や社会のあるべき姿をイメージし、その先に新しい可能性を創ろうとするからこそ、何かを変えることができる。
 人口減少が進む日本において、ビジネスを成長させるためには、ブランド化による価格の向上とサービス化によるライフタイムバリューの向上が欠かせない。それを実現するためにクリエーティブの力が必要となる。
 ではブランドとは何か。一番シンプルな定義は「企業やモノが特定の価値を提供するという約束」だ。約束の相手は、顧客を含むあらゆるステークホルダー(利害関係者)。事業戦略そのものを世の中にどう伝えていくかの総合的な考え方であり、会社の方向性を定める重要なポイントがブランドである。
 会場に集まった若い起業家に三つのことを伝えたい。一つ目は結果が出なかった時には、めちゃくちゃ悔しがってほしいということ。悔しい気持ちが、前に一歩進めるエネルギーになる。
 もう一つは、人生のふたを外す経験をなるべく早いうちにしてほしいということ。「このくらいでいいんじゃないか」と無意識に作ってしまっている自分の上限を外してほしい。三つ目が「あいつには負けたくない」と思えるような、一生競い合える仲間に出会ってほしいということだ。
 講演を通じて一番言いたいことは「いこう その先へ」の一言。今日の話が皆さんが一歩前に進むエネルギーになることを願っている。

 みうら・たかひろ 2007年、博報堂に入社し、マーケティング・PR・クリエーティブの3領域を経験。TBWA/HAKUHODOを経て17年に独立。「やっちゃえNISSAN」などの広告やキャンペーンを手がける。

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未来へ発信

202310/29

動き鮮やか会場彩る 農二高吹奏楽部

東京農大二高(高崎市)の吹奏楽部員148人がオープニングやインターバルコンテンツに彩りを添えた。迫力ある堂々としたバンド演奏と、色とりどりの衣装を身にまとったカラーガードが協演、会場を盛り上げた。
 部員は今月、台湾の建国記念日に合わせた式典に招かれ、台湾総統府前でパフォーマンスを披露。顧問の樋口一朗教諭は「初となる海外での演奏経験で、生徒の自己表現に磨きがかかった。自信を持って演奏できている」と話す。
 今回は、アニメソングメドレーやチャイコフスキーのクラシック曲をアレンジした楽曲「エクストリーム・メイクオーバー」など台湾での公演と同様の曲目を繰り広げた。一糸乱れぬ隊列や美しくなびくフラッグの動きが鮮やかで、大勢の観客の心をつかんでいた。
 部長の山宮悠暉さん(3年)は「演奏中の細かい動きまで意識して練習してきた。迫力満点のステージを感じてもらえたと思う」と満足そうに話した。

【交流会】
◎上毛新聞社関口社長あいさつ 「課題を深く掘り下げた」

 表彰式後に交流会が開かれ、15組の出場者をはじめ、審査委員や企業関係者ら計300人が出席した。出場者の健闘をたたえ合って懇親を深めた。
 主催者を代表して上毛新聞社の関口雅弘社長が「ビジネス課題を深く掘り下げた具体性のある発想ばかりだった」とあいさつ。実行委員長を務めたジンズホールディングスの田中仁CEOは発表の質の高さを評価した上で、来年開かれる全国規模のイノベーションアワードを見据え、「群馬を起業の聖地として盛り上げていこう」と述べた。
 出場者が登壇して喜びを語ったり、互いに意見交換したりして盛況だった。

【イノベーションマーケット】
◎歴代ファイナリスト、協賛社、企業 35ブース出展 商品PR

 歴代GIAファイナリストや協賛社、県内を拠点に活動する企業が出展する群馬イノベーションマーケットは、35社・団体が会場入り口近くにブースを出展し、最新の製品やサービスを紹介した。
 県産の素材を使ったアクセサリーやアップサイクル商品などが販売されたほか、各地の地域おこし協力隊や群馬NPO協議会が活動を紹介した。
 機能性インソール(靴の中敷き)の開発・製造を手がけるBMZ(みなかみ町)の山口麻奈美さん(32)は「新開発のゴルフシューズをはじめ、商品を知ってもらう良い機会になった」と話した。


将来性や可能性に夢

【総評】審査委員長・慶応大教授 国領 二郎氏

 485件の応募を勝ち抜いたファイナリストの皆さんに誇りを持ってほしい。それをサポートしてきた皆さん、さらに県全体の皆さんに感謝したい。
 今回の審査も白熱した議論となった。ビジネスとしての将来性やどのような社会課題に応えているか、応える可能性があるかなど、いくつかの基準で選考した。
 大賞となった東京大4年の加藤徳明さんのプランは、海なし県の群馬が海産物のプラントとなるところに夢がある。それをすでに具体的な形で実践している点を評価した。
 GIAは11回目となり、イノベーションの地として定着してきている。大変心強く、この取り組みに参画していることを光栄に思う。

◎社会の仕組み変えて
 関東経済産業局長 太田 雄彦氏

 関東経済産業局長賞に輝いたC&Fマーケティングの佐藤栄寿さんのプランは、日本が直面する課題の解決に資するもの。こうした試みがもっと広がってくれればと思う。
 イノベーションは世の中を変えることに意味がある。今あるものをデジタル化するだけでは不十分。皆さんにはぜひ社会の仕組みを変えていってほしい。

◆審査委員◆
ジンズホールディングスCEO 田中  仁氏
オープンハウスグループ社長 荒井 正昭氏
カインズ会長 土屋 裕雅氏
群馬銀行専務 入沢 広之氏
上毛新聞社長 関口 雅弘氏

<ゲスト審査員>
デロイトトーマツグループCSIO 前田 善宏氏
バニッシュ・スタンダードCEO 小野里寧晃氏

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ロヒンギャ、DX推進など15組がプラン 「120点」「一番良かった」 友人、家族ら発表見守る

202310/29

 「群馬イノベーションアワード(GIA)2023」のファイナルステージが開かれた28日、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋には、ファイナリスト15組の友人や家族らが応援に駆けつけた。2次にわたる審査を勝ち抜き、練り上げた渾身(こんしん)の事業計画をステージで堂々と発表する姿を固唾(かたず)をのんで見守った。

 最初の発表となったビジネスプラン部門「高校生以下の部」。唯一の中学生として出場したぐんま国際アカデミー中等部の鈴木聡真さん(3年)、杏さん(1年)きょうだいが、ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの難民キャンプの子どもたちへの支援をテーマに発表した。父の凱星(がいせい)さん(48)は「3年間の支援活動が二人の自信になり、堂々とした発表だった」と目を細めた。
 同部門「大学生・専門学校生の部」では、高崎商科大3年の菅野航平さんが、コロナが落ち着き不要となったアクリル板の活用について発表。大学の授業で一緒にテーマを考えたという仲間3人が駆けつけた。宮入奏大さん(21)は「内容を魅力的に伝えてくれた。120点の出来」とたたえた。
 中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化の推進の実現をテーマに発表した共愛学園前橋国際大3年の出井樹利亜さんの発表では、友人が「樹利亜」と書いた自作のうちわを持ってステージを見つめた。津久井星さん(20)は「昨日も遅くまで練習していた。落ち着いて話していて一番良かった」と笑顔だった。
 同部門「一般の部」では「いちもん」の木下隆介さんが、職人のノウハウと凍結技術を用い、飲食店の人気メニューを冷凍食品として販売するプランを発表した。部下の前原彩乃さん(22)=前橋市=は「いつも明るく前向きな上司。分かりやすい内容のプレゼンだった」と出来栄えに太鼓判を押した。
 ベンチャー部門で「ことばのヤングケアラーをなくす」をテーマに発表したNPO法人「共に暮らす」代表のアジズ・アフメッドさん。大学時代の同級生、ムロ・オリバリ・ブルネラさん(24)=伊勢崎市=は、自身の経験を振り返りながら「伝えてほしいことをしっかり伝えてくれた」と納得の表情を浮かべた。
(文 大楽和範、写真 宮崎浩治)

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GIA2次審査 15組ファイナルへ

202310/08

 今年で11回目を迎える起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2023」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の2次審査が7日、前橋市の前橋商工会議所会館で行われた。1次書類審査を通過した52組が独自のビジネスプランを発表し、28日のファイナルステージに進む15組が決まった。

◎52組 熱くプレゼン
 エントリーした485組から選ばれた2次審査の出場者は、食、農業、医療福祉、生活全般などの課題解決に向けたさまざまなアイデアを考案。資料をスクリーンに映し、ファイナルステージと同様に3分間のプレゼンテーションに臨んだ。
 廃棄されるしゅうゆかすや規格外の野菜を扱った新たな商品展開、外国人向けに行政マニュアルを多言語化するアプリの開発、企業と連携した難民支援など、出場者は練り上げたプランを熱意を込めて発表した。
 独自の新しいプランを考案する「ビジネスプラン部門」は高校生以下の部で4組、大学・専門学校生の部で3組、一般の部で4組が選ばれた。昨年までの「スタートアップ」と「イノベーション」を統合した「ベンチャー部門」は4組が最終審査の切符をつかんだ。
 審査員は田中仁・ジンズホールディングスCEO、荒井正昭・オープンハウスグループ社長、土屋裕雅・カインズ会長、長谷川健・群馬銀行執行役員コンサルティング営業部長、関口雅弘・上毛新聞社社長が務めた。ターゲット層や経費、運営方法など、事業として実現させるための具体的な質問を投げかけた。
 ファイナルステージは、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で公開審査を実施する。東京農大二高吹奏楽部による演奏、クリエイティブディレクターでGO代表の三浦崇宏氏の講演などが行われる。会場では県内を拠点に活動するクリエーターや地元飲食店などが出展する「群馬イノベーションマーケット」も開かれる。
(林哲也)

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