
《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(4)》仕事のやりがい魅力に
起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに語り合う座談会。4回目の5人は地域への思いや関わり、地方が抱える課題である人手不足解消について、それぞれの取り組みを語り合った。
(次回は16日掲載)
【座談会参加者】
石川建設代表取締役社長
石川雅之氏
東和銀行常務執行役員
和佐田高久氏
クスリのマルエ代表取締役社長
鈴木暁子氏
BMZ常務取締役
高橋大悟氏
ユナ厨房代表取締役
五十畑隆宏氏
◆Q1.地域と共に歩む
◎地域貢献は当たり前
石川 創業80年以上の総合建設会社です。当社はビジョン経営を導入し、社の方針を全社員と共有して、それに沿った運営をしています。「お客さま、社員、協力業者、地域の皆さまから石川建設で良かったと思われる会社を目指す」をビジョンに掲げていますので、社員にとって地域貢献は当たり前になっています。
災害時や豚熱発生後の処理、地域の祭りや防災訓練などに協力、貢献しています。地元プロスポーツへの協賛なども積極的に行っています。
◎空き家を飲食店へ
五十畑 飲食店や食品工場の設備工事やメンテナンス業を主体として、飲食店の開業を目指す方に向けたコンサル事業などを展開しています。
地域の空き家問題を解決するための新規事業へ参入を考えています。古民家の活用を進める自治体や地域の団体などと連携し、飲食店や商店の開業を支援していきます。古民家を店舗として活用するための改修工事は難しく、資金もかかり大変ですが、当社の専門知識や技術で貢献したいと思います。
◎中小の成長支える
和佐田 当行は大正6年に館林市で創業しました。現在は前橋市に本社を構え、本県のほか埼玉や東京を中心に事業を展開しています。
銀行は、人間でいうと血液の循環を良くするための機能のようなもので、お金や経済の流れを円滑にする役割を担っています。それには、国や地方自治体などの行政機関と連携し、取り組む必要があります。地域経済を支える中小企業の持続的な成長を支えていくことが、当行の地方貢献だと考えています。
◎県民の健康悩み解決
鈴木 町の小さな薬局から始まり、本県を中心に店舗を展開しています。そういった歴史から地域貢献は企業理念の一つになっており、地域住民のための「健康インフラ」構築を目指してきました。
約20年前からドラッグストアと調剤薬局を併設した店舗展開を進めてきました。現在は併設率60%を超え、「マルエに行けば健康相談に乗ってもらえる」という認識が広まっています。ドラッグストアが増え、競争が激しくなっていますが、群馬発祥の強みを生かして県民の悩みを解決する商品を届けていきます。
◎閉校した中学校活用
高橋 みなかみ町で機能性の高いインソールやシューズの開発、製造、販売までを一貫して手がけるメーカーです。オリンピック選手やJリーガー向けのプロ仕様から始まり、現在は一般向けの商品まで幅広く取り扱っています。
創業者の出身地である、みなかみ町の閉校した中学校をお借りし、開発から製造、販売など全ての拠点として活用しています。地元へ恩返しの思いを込めて、アウトレットセールを年3回開催しています。
◆Q2.新たな可能性と展望
◎外国人材へ教育を
石川 地方は人手不足が大きな問題です。都市部は大規模事業が多く、バブル期をしのぐ勢いですが、地方は仕事が減っています。都市部の大手に給与で太刀打ちすることはできませんので、職人のなり手不足は深刻です。
今後はより外国人材の登用が必要になります。技術の習得に加え、現場の安全管理のために日本語教育は必須です。外国人材の教育のためのアカデミーを業界や地域と連携し、設立を目指していきたいと思います。
◎資格取得を支援
鈴木 同じく人材不足は死活問題です。薬機法の改正により、一般用医薬品の販売が可能な登録販売者の確保が難しくなっています。ドラッグストア激戦の中で、時給を釣り上げて人材を奪い合う状況に課題を感じています。
新規採用が難しいなら自社で人材を育成していこうと、パート従業員の資格取得を支援する研修を実施しています。資格取得に消極的な方もいますが、自信とやりがいにつながるようサポートを心がけています。
◎「多能工化」進める
和佐田 人手不足の解消として「多能工化」を進めています。従業員一人が複数の業務をこなせるように知識やスキル習得に力を入れることで、多くの仕事に関われるようになり、やりがいを感じられるようになります。賃金だけではない、仕事のやりがいを見いだせる環境づくりをしています。
これまでは事務管理部門と営業職などのプロフィット部門が分かれていました。今後はIT化を進めて事務作業を減らし、営業部門の人材育成に力を注いでいきます。
◎障害者活躍の場を
五十畑 本業とは別に障害者就労継続支援A型事業所を運営していますが、「サービス管理責任者」という資格保有者の確保が難しい現状があります。有資格者が少なく、取り合いのような状態です。
資格取得には実務経験や研修が必要なため、簡単に受験できるものではありません。条件や賃金競争だけでは勝負できないと考え、この事業に賛同してくれる人材を探していく形に変えました。引き続き障害者が活躍できる場所づくりに注力していきます。
◎シューズ事業に参入
高橋 これまでインソールの開発、製造を主としてきましたが、あまり一般的な商品ではありません。そのため経験者の人材確保が難しく、未経験者を採用していました。
シューズ事業に参入してからは興味を持ってもらえることが増えました。国内でスニーカーを一から開発し、デザインや製造、販売までできる会社がないこともあり、県内だけでなく九州や四国、海外からも集まってきています。靴作りに携わることが、やりがいにつながっているのではないかと感じています。
■BMZ
2004年、みなかみ町でインソールメーカーとして創業。群馬大や桐蔭横浜大など、多くの大学と共同で実証研究を行い、エビデンスを基に足から健康づくりをサポートする。新たにシューズ事業に参入し、23年から「アシトレスニーカー」を販売。
■東和銀行
1917年創業。パーパス「私たちは、地域のお客さまに寄り添い、ともに豊かな未来を創造します。」を掲げる。「靴底を減らす活動を実践」「雨でも傘をさし続ける」「謙虚さのDNAを忘れない」をモットーに地域経済と社会の持続可能な発展を支える。
■石川建設
1940年、太田市で創業。関東一円を営業基盤とし、公共工事のほか民間大型工事まで手がける。人手不足などの課題解決へDX化を推進。「顧客満足度 社員満足度 地域No.1を目指す」をスローガンに、社員の地域活動やサークル活動を支援する。
■クスリのマルエ
1951年、前橋市大胡町で「マルエ薬品堂」を開業。73年にクスリのマルエを設立し、ドラッグストアをオープン。2020年からウエルシアホールディングスの子会社となり、ドラッグストア53店舗、調剤薬局35店舗を展開する。
■ユナ厨房
2002年、館林市で飲食店が使用する厨房機器のリユース品販売を始める。厨房機器の設備工事やメンテナンス業に加え、顧客の要望に応える形で店舗リフォームや飲食店開業を目指す人に向けたコンサル業などへ事業を拡大している。
ファイナルステージは12月6日@日本トーターグリーンドーム前橋
【GIA協賛社】
▼実行委員
ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、日本通信、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、クスリのマルエ、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、コーエィ、国際警備、シーエスエム、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プラスエヌ、プリマベーラ、北海道電力、前橋園芸、増田煉瓦、宮下工業、メモリードグループ、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店
掲載日
2025/10/15
