
《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(5)》持続可能な社会に貢献
起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに語り合った。5回目は4人が、持続可能な社会にしていくために、地域の魅力を再発見するほか、人材を育成する大切さなどについて共有した。
(次回は21日掲載)
【座談会参加者】
オープンハウスグループコミュニケーションデザイン本部長
白井 淳氏
赤尾商事代表取締役社長
赤尾佳子氏
増田煉瓦代表取締役
増田晋一氏
NTT東日本群馬支店長
田島 裕氏
◆Q1.地域と共に歩む
◎生産者の思いを形に
増田 大正6年に群馬県庁などを建設する建材や炉材として、利根川流域の粘土を原材料とした赤煉瓦(れんが)を製造したのが始まりです。今は建築と食に特化しています。一流の料理人たちが前橋に来られる際に、地域の食文化を交えて市内の飲食店をご紹介する機会があります。食文化を盛り上げるきっかけづくりとして「King of Pizza in MAEBASHI」にも協力しています。地元産の小麦粉の生地に野菜や肉などを載せることで、地域の特徴を出しながら生産者の思いを一般の方々に伝える機会になっています。
◎しっかりコミット
白井 基本的には不動産事業がメインですが、創業者の荒井正昭が出身地である群馬に対して熱い思いを持っていて、プロバスケットボールチームや母校である旧桐生南高を活用した多目的施設の運営などをしています。地域の活性化に対して、アドバイスやお金を出すだけではなく、そこに入り込んで自分たちもしっかりコミットして取り組んでいくことを大切にしています。
◎自治体と防災協定
田島 当社は地域循環型社会の共創をパーパスに掲げており、社名も7月に東日本電信電話からNTT東日本に変更しました。例えば防災の枠組みでは県内全35自治体と協定を結び、災害時にどう連携するかといった訓練にも取り組んでいます。次々と起こる被害状況を口頭で伝えるには時間がかかりますが、自動的に状況が伝わる電子黒板等のソリューションを提供させていただく。地域の皆さまとの協働が、われわれのビジネスにもなると考えています。
◎有事でも燃料供給
赤尾 エネルギーを扱う会社ですが、二酸化炭素をいかに削減していくかなど、環境や省エネにも力を入れていきたいです。平常時に地域のインフラを支えるのも大事な仕事ですが、NTTさんの防災のお話のように、災害時に安定的にエネルギーを供給することはすごく大きな使命だと思っています。化石燃料は悪者にされがちですが、やっぱりエネルギー供給の最後のとりでだと思います。いざという時に地域の役に立てることが一つの強みだと思います。
◆Q2.新たな可能性と展望
◎今後の開発に向けて
白井 不動産のバリューアップは事業の柱の一つになってきています。土地を開発して価値を付け、人を呼び込みビジネスとしても発展させるということで、11月に開業する箱根のホテルなどがそうです。開発というと増築や新築が主流でしたが、今は「減築」という考え方を取り入れ、リノベーションもしながら作り上げていくことで、コストや環境も含めたサステナブルな側面も大事にしています。開発を進めるには、その地域が抱える課題や、何が世の中に求められているのかをきちんと調べなければなりません。みなかみ町など各地域で取り組み始めています。
◎世の中の困り事解決
赤尾 大学生に当社のリソース(資源)を使って新規事業を考えてもらう体験を先日も行いました。採用目的なのはもちろんですが、学生にそういう場を与えて、成長や気付きの機会にするのは一つの社会貢献と捉えています。当社は2018年に、「世の中の困り事を解決する会社になる」という2030年ビジョンを掲げました。今月にはホールディングス化を予定しており、今後も世の中に必要とされるサービスや商品を扱っていきたいと思います。
◎大切なこと次世代へ
増田 創業108年を経て、群馬の食文化を煉瓦窯で発信していきたい。その地域の思いも含めて伝えていくことが当社にとっての使命・役目と考えます。地元で本来なくしてはいけないようなことが置き去りにされている気がして、もっと若い人たちに知ってもらいたいです。年齢を問わず地元愛があり、この地域で自分のやりたいことが見える人がいると、町は盛り上がっていくと思います。
◎全体の価値向上を
田島 渋川の廃校で今、間伐材を活用したバイオマス熱エネルギーにより菌床しいたけやドライフルーツの生産を行っています。地域の資源をビジネスに結び付け、他県からも注目されています。農作物を育てるにもドライフルーツを生産するにも温度管理が重要です。そこに当社の強みである情報通信技術を生かすことができます。技術的な知見や人材を皆さんに活用してもらい、地域全体で価値が上がるような活動を一緒に進めていきたいと思っています。
【参加企業】
■赤尾商事
法人と個人向けに燃料油、潤滑油、LPガスなどを販売する事業と、ガソリンスタンドを中心に車検・整備・カーリースを展開している。また、脱炭素・省エネ支援や保険、福祉関連、リフォーム、新電力など多角的に事業を展開している。
■NTT東日本群馬支店
強みであるネットワーク事業を中心に展開。近年は防災・教育・スマートインフラ・エネルギー・サステナビリティーなどさまざまな分野で「地域循環型社会の共創」を目指し、自治体や企業が持つ地域課題の解決に取り組んでいる。
■オープンハウスグループ
平成生まれの企業では2社のみが果たしている「売上高1兆円超え」。東証プライム市場の中でもこの10年間の成長率ナンバーワンを誇る。社員一丸となり、不動産業界日本一を目指している。
■増田煉瓦
れんがの窯・釜・炉の商品開発とれんが材料に特化した専門集団で構成。自社商品を生かすための生地レシピ、ピッツァやパン研修、関連道具、薪の供給などを携えて、前橋から日本全国に向けて発信している。
ファイナルステージは12月6日@日本トーターグリーンドーム前橋
【GIA協賛社】
▼実行委員
ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、日本通信、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、クスリのマルエ、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、コーエィ、国際警備、シーエスエム、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プラスエヌ、プリマベーラ、北海道電力、前橋園芸、増田煉瓦、宮下工業、メモリードグループ、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店
掲載日
2025/10/16
