
《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(12)》発展目指して挑戦を
起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに語り合う座談会。最終回の4人は、地域課題に向き合いつつ、企業として発展を遂げるための独自の取り組みについて語り合った。
(21日に協賛社メッセージ掲載)
【座談会参加者】
広田住宅センター代表取締役
広田金次郎氏
コーエィE・C事業部PⅢ戦略室取締役統括部長
加藤 満氏
オルビス代表取締役
大熊章之氏
三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店
コンサルティング第二部長
寺 晴之氏
◆Q1.地域と共に歩む
◎相続と空き家 解決
広田 群馬県全域で不動産業を展開しています。不動産会社として、日本が今後抱えるであろう「相続」と「空き家」の問題を解決することは重要です。空き家を当社で買い取り、所有者としてリフォームなどを施した上で売却や賃貸する取り組みを2年前から本格的に始めました。空き家だった物件に移住者が増え、新たに生まれたコミュニティーと自治体をおつなぎすることもあります。寂しくなってしまった地域に光をともす大事な仕事だと感じます。
◎資産運用を提案
寺 群馬県と埼玉県北部、長野県の法人や個人を対象に、資産運用のご相談に応じています。人件費や物価の上昇により、運用を始めるお客さまは増えています。ただ、今は保守的な運用だけでは成功しない世の中に変化しています。お客さまが許容できるリスクに応じた運用プランをご提案し、生まれた利益が社員や地域に還元されることで経済が活性化すると思います。群馬県は多様な業種のお客さまがいらっしゃり、多くの方のお役に立ちたいです。
◎食の安全明確に
大熊 肉と青果の卸、総菜加工の3本柱で生鮮食品業を手がけています。目まぐるしく変化する社会で、いつの時代も変わらないのが食品です。自然が相手なので、天候や豚熱(CSF)などの伝染病に左右され、地域と最も近い業界であると感じます。商品の安全性を明確にして正しい形で提供することは、生産者、消費者双方にとって安心で大切と考え、食品安全と品質マネジメントの国際規格「FSSC22000」「ISO9001」認証を取得しています。
◎23自治体と災害協定
加藤 機器のレンタルを中心にイベント事業などに取り組んでいます。近年は、前橋市の温泉施設の指定管理やグランピング施設運営などのPFI事業も手がけています。イベント運営のノウハウを生かして遊具を導入するなど、子どもも楽しめる施設にしたところ、大変好評です。重機や仮設トイレなども備えているため、23自治体と災害協定を結んでいます。今後も自分たちの持っている資材や機材を生かした地域貢献を続けていきたいです。
◆Q2.新たな可能性と展望
◎金融教育担う
寺 群馬県に限らず、経営者の方にお会いすると賃上げの難しさや人材難に悩まれています。運用によって少しでも会社や社員の方の資産を増やせるよう、金融教育の役割も果たす必要があると感じています。企業を対象にNISAの勉強会などを開いており、今後は高校生にも金融教育をしていきたいです。「証券投資は危ない」というイメージを変え、お客さまが納得される運用手法を取り入れていただくことで、皆さまに安心感を与えられるよう努めます。
◎ホテル避難所に
加藤 キャンピングカーを利用したホテルを運営し、災害時に避難所として活用する事業ができないかと計画しています。新潟中越地震や東日本大震災など、自社の営業所がある地域で災害を経験したことから、オリジナルのけん引型トイレを制作しています。また、福島大と連携し、くみ取り不要の仮設トイレの開発にも取り組んでいます。災害が起きたとき、トイレの問題は体調にも関わるので深刻です。会社として取り組むべき課題だと実感しています。
◎コンサル業を強化
広田 不動産業界でもデジタル化が進んだことから、特に相続の分野でコンサルタント業を推し進めることが非常に重要と感じます。会社や個人が所有する不動産に対して、背景や価値をしっかり把握した上で活用法をご提案する「思いをつなぐリレー」の役割を果たしたいです。今までの不動産業界でも取り組んでいましたが、より意識的にビジネスとして力を入れ始めています。今後はこうした支援サービスが会社として存続する道にもなるでしょう。
◎流通モデルを確立
大熊 今後新たに水産品も展開し、食の分野で肉、野菜、魚を網羅できれば、人生をかけてやりがいのある事業だったと言えます。全ての食材を自分たちの手で仕入れ、加工、販売するという一連の流通モデルの確立を、社の発展のために挑戦したいです。市場に流通せず、地元で消費される「未利用魚」にも注目しています。鮮度も良く、「幻の魚」と呼ばれるようなおいしい魚もあり、多くの人に供給するビジネスに成長させたいと考えています。
【参加企業】
■三菱UFJモルガン・スタンレー証券
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が60%出資し、モルガン・スタンレーが40%出資するMUFGの連結子会社。両社のネットワークを活用し、個人や法人の多様な金融ニーズに多角的に対応する。
■オルビス
1971年、大一ミート設立。2010年に鳥一フーズと合併し、オルビスに社名変更。食肉、青果の卸、総菜加工などを手がける。経営理念に「『安心』『安全』『真心』信頼の確立」を掲げ、安全管理を徹底した食を提供する。
■広田住宅センター
1969年、高崎市の広田不動産に入社した先代が74年に独立し、前身となる広田住宅センターを設立。2007年に改組し株式会社化。不動産賃貸・売買・管理を手がけ、空き家や相続など地域課題の解決に力を入れる。
■コーエィ
1969年に前橋市で創業。建機レンタル・イベント企画運営事業を中心に、工事施工管理、車両・重機整備指定工場経営、アミューズメント関連事業、指定管理・PFI事業、エージェント事業など多角的に展開する。
掲載日
2025/11/11
