
《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(7)》地域経済潤し成長導く
起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに語り合う座談会。7回目は多様なジャンルで活躍する5人が語り合い、地域経済の活性化が若者の挑戦を後押しし、起業支援にもつながることを共有した。(次回は28日掲載)
【座談会参加者】
ファームドゥグループ代表
岩井雅之氏
石井設計グループ代表
石井繁紀氏
HAWORD代表取締役
宮﨑雄一氏
中央カレッジグループ有坂中央学園教育本部長
五十部昌克氏
アイオー信用金庫常勤理事
金子正則氏
◆Q1.地域と共に歩む
◎遊休農地を活用
岩井 農業に関するビジネスを多角的に展開しています。現在は遊休農地を活用した太陽光発電や地元農家の農産物販売代行などに取り組み、障害者や外国人労働者も含め、多くの雇用を創出することで地域経済の活性化につなげています。日本は食料自給率の低下や農家の減少などが課題になっていますが、その解決のためにはお金を地域社会に回すことが重要だと考えています。お金が巡って地域が元気になることが、経営者としての私の喜びです。
◎人材こそが会社の力
石井 主に県内全域で活動している建築設計事務所です。建築は性能、デザイン、コストのバランスが重要です。建築の空間構成やデザインを設計する「意匠設計」、安全性を確保する土台や骨組みを設計する「構造設計」、空調、電気、給排水などを設計する「設備設計」の技術者をフルラインナップで備えた組織体制で、クライアントに応えることが当社の特徴です。会社が成長する中で多様な人材が増え、会社の力が着実に高まっていると感じています。
◎地域の安全に貢献
金子 地域に寄り添い、皆さまの生活を支えることが使命です。金融以外の面でも多くの地域貢献活動に力を入れています。当金庫は中小企業の持続的な成長と地域経済の活性化を図るため、伊勢崎市や太田市と包括連携協定を結んでいます。ほかにも営業車に「安心パトロール」のステッカーを貼付し、地域の見守り活動をしたり、特殊詐欺を防止するため、年金の支給日には警察と連携してATMコーナーでの声がけをしたり、啓蒙(けいもう)活動を行っています。
◎食を通じた幸せ提供
宮﨑 今年3月、前橋駅前にあった店を前橋中央通りのアーケードに移転し、前橋まちなか店としてリニューアルオープンしました。商店街という場所には特別な思いがあります。商店街とは、洋品店や青果店など、それぞれの仕事が大好きなプロたちが集まる場所だと考えています。飲食業を取り巻く厳しい環境は依然として続いていますが、食を通じた幸せを提供したいという思いを丁寧に伝え、店を育てていきたいと思っています。
◎卒業生らも躍進
五十部 当グループは地域社会に貢献できる学生を育てることを使命としています。出生率が低下し、都市部へ若い力が流出してしまうという課題もある中で、地元の教育機関が果たす役割は一段と高まっています。教育の質を高め、学生一人一人により充実した学習機会を提供したい。そして地元で活躍の場を広げてもらいたいと考えています。当グループの卒業生は地元でのネットワークをつくり、多岐にわたるジャンルで躍進してくれています。
◆Q2.新たな可能性と展望
◎エビの陸上養殖
岩井 持続可能なエネルギーと食料生産に関する革新的なプロジェクトの一環として、エビの陸上養殖事業を計画しています。牛や豚よりも必要な飼料が少なく済み、環境にも優しく、従来の10倍ほど効率的な国内生産が可能になる見込みです。県内発の国産エビとして、成功ストーリーを生み出し、国内外に発信していきたいです。
◎「地域商社」の構想
金子 当金庫では経営理念である「共存同栄」を具現化し、今まで以上に地域から愛される信用金庫を目指していくため、持続可能な開発目標(SDGs)の推進など、さまざまな取り組みを進めています。その一つとして「地域商社」の構想があります。中小企業の各種課題解決や販路拡大を支援する事業です。
皆さまの取り組みをきめ細かにサポートするとともに、県内外へ向けて中小企業の技術や魅力をアピールしていきたいです。
◎学び成長する機会を
五十部 近年、IT技術やプログラミングスキルなど、より実践的な知識が求められるようになっています。教育分野でも社会人向けのリスキリング(学び直し)が注目を集めています。ほかにも、当グループには多様な学びに対応した通信制の高等専修学校があります。不登校経験者が増えつつある中、「学びたい」熱意を持った生徒たちの再チャレンジの場を提供することの意義を改めて見つめ直し、多くの人が学び成長できる機会を提供したいです。
◎遠回りにも価値ある
宮﨑 ニーズの変化やお客さまから寄せられた声をヒントに、ドレッシングなどの新商品を開発しています。
(五十部さんの話を聞いて)とても温かいなと感じました。私は「遠回りにも価値がある」と思います。結果だけでなく、過程にも価値がある。例えば従業員の働き方、仕事と生活のバランスや質も重要です。ただ売り上げを伸ばすことだけではなく、みんなで一緒に幸せを共有できるような経営を心がけていきたいです。
◎横のつながり大切に
石井 建築もまちづくりも、時代に合わせた適切な機能更新や価値更新を行い続けなければ魅力が減少し、やがて衰退へとつながります。同様に、企業や経営者も更新し続けることが重要です。群馬イノベーションアワード(GIA)を含め、地域の経営者が集まる団体などから得られる経験は貴重であり、多様なジャンルで活躍する人たちとの交流や横のつながりも大切です。さまざまなヒントや刺激を得ることができ、経営者として非常に役立っています。
岩井 (GIAの挑戦者に対して)若者たちが資金面で不安なく挑戦できるように、後押ししていきたいですね。
【参加企業】
■アイオー信用金庫
1928年創立。中小企業や地域住民のための金融機関として、相互扶助の精神に基づき、地域のニーズに応えることを経営の基本としている。理念に掲げる「共存同栄」は、地域・顧客、金庫、職員が三位一体となって繁栄していくことを意味している。
■HAWORD
イタリアンレストラン「PIZZERIA!PESCA!」2店舗と生ドレッシング「PESCA!FLAVOR!」の自社工場を展開する。「happiness(幸せ)」を理念に掲げ、素材にこだわった安心・安全な食の楽しさと感動を届けている。
■ファームドゥグループ
1994年に農業資材専門店を開業し、「農業を支援し、農家の所得向上に貢献する」を理念に、農業、農産物直売、再生可能エネルギーによる地域還流型ビジネスモデルを構築してきた。電気と野菜を同時につくる営農型太陽光発電に取り組んでいる。
■石井設計グループ
1920年創立。建築設計・構造設計・設備設計のデザイナー・エンジニアと、まちづくりプランナーを有する総合建築設計事務所グループ。手がけてきた建築物は2000件を超える。建築の専門家集団として、顧客や社会のニーズに応え続けている。
■中央カレッジグループ
83年の歴史を持つ専門学校グループ。「とことん面倒見のよい学校」を基本理念に掲げる。9校の専門学校と1校の高等専修学校を運営。近年は社会人にIT分野などの学び直しの機会を提供するリスキリングや留学生の獲得にも力を入れる。
ファイナルステージは12月6日@日本トーターグリーンドーム前橋
【GIA協賛社】
▼実行委員
ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、日本通信、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、クスリのマルエ、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、コーエィ、国際警備、シーエスエム、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プラスエヌ、プリマベーラ、北海道電力、前橋園芸、増田煉瓦、宮下工業、メモリードグループ、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店
掲載日
2025/10/23
