News

メディア掲載情報

《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(8)》地域活性化の可能性追求

202511/18

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに座談会形式で意見を出し合った。8回目の5人は地域活性化の糸口となるような取り組みを共有し、人材育成やまちづくりに関して展望を語った。
(次回は30日掲載)

【座談会参加者】
ジャオス代表取締役
赤星大二郎氏
アサヒ商会代表取締役
廣瀬一成氏
前橋園芸代表取締役
中村敬太郎氏
宮下工業代表取締役
宮下 学氏
東京海上日動火災保険
群馬支店長
上杉 克氏

◆Q1.地域と共に歩む

◎地域貢献でニーズ発見
 中村 前橋のまちづくりとして、ライトアップのボランティアを20年ほど前から続けています。普段接しない人と関わることで、時代のニーズを感じ取れるヒントを見つけられます。例えば、近年は家の庭を作る人が減っていて、「緑の価値(ニーズ)」が「個人」から「パブリック」に移り変わってきていると感じます。ニーズが変わる中で2年前、沼田市にグランピングキャンプ場を新設しました。これまでとは違い、広く緑を提供することでニーズに応えています。

◎コラボで新しい可能性
 廣瀬 最近では、草津や老神など県内の5つの各温泉をモチーフにした「温泉インク」を開発、販売しました。購入者は観光客や県外の人が多く、インクをきっかけに各地域を訪れるなどつながりができたら面白いと思います。これまで観光地ノベルティーというと、キーホルダーなどの定番商品が多い状態でした。訪れた人に気持ち良く買ってもらうために、地域の名産とコラボレーションすれば、実現できるアイデアや可能性がたくさんあると感じました。

◎働きやすい環境作り
 赤星 東京で創業した「よそ者」を受け入れてくれた人たちの優しさや、ものづくりと走行テストができる環境など、地域から多くのものを享受しています。雇用創出で地域に貢献したいと考え、求人に力を入れています。SNSで情報発信しながら、社屋の新設や愛されるブランド作りといったプライドと満足感を持って仕事ができる環境作りに取り組んでいます。良い商品の製造販売はもちろん、働く環境の整備は企業が生き残る上で重要だと考えます。

◎リスクに備える支援
 上杉 地元企業として、地域の課題に向き合いながら活動しています。県や商工会議所とは、地域活性化や災害リスクに備えて準備する事業継続計画(BCP)の策定を支援する協定を結んでいます。自動車保険や火災保険の提供のほか、増加するひょう被害対応でも役に立てるよう努めています。ただ、群馬は災害が少ないといわれる地域で、例えば、地震保険の加入率は全国的に見ても低いです。いざという時に役立てるよう皆さんに備えてもらうことも課題です。

◎ものづくりと災害対応
 宮下 建設会社として、常にものづくりを通して地域に貢献する思いを大切にしています。最近では、前橋市の街の活性化を目指す官民連携事業の馬場川通りプロジェクトの施工に携わりました。一方で、災害時の対応にも地域を守る意識を持って取り組んでいます。官公庁と協定を締結し、台風や水害の災害対応、大雪時の除雪作業、家畜伝染病発生時の埋却作業などを自治体と連携し実施しています。また、大規模災害発生時に備え、BCP認定も取得しています。

◆Q2.新たな可能性と展望

◎自然再興で循環作り
 上杉 野生動物による群馬の森林の食害対策として、ネイチャーポジティブ(自然再興)の取り組みを始めました。自然を守ることで二酸化炭素(CO2)排出の削減効果が生まれます。排出削減効果を取引できる「カーボン・クレジット」にして県内外で販売し、収益で森林を保護したり、駆除した鳥獣をジビエとして食材に活用して販売したりします。こうした循環サイクルを作り、群馬ならではの地域の課題解決や活性化につなげたいと思っています。

◎生産性向上とやりがい
 宮下 ものづくりと災害対応の両面で、技術者の育成が重要課題です。建設業もデジタル化が進み、建機をデジタルデータで制御するICT(情報通信技術)施工の内製化をはじめ、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めています。施工効率が良くなり、専門的知識を待たない未経験者でも一定水準の作業ができます。生産性向上とともに、やりがいや達成感をより実感できる体制と、働き方改革による働きやすい環境の構築が重要だと考えます。

◎双方向で技術生かす
 中村 世界最高峰の技術で造園空間がつくられる英国を9年前から訪れています。新たに得た技術を生かし、これまでにない工法で白井屋ホテル(前橋市)の壁面緑化を手がけました。海外の技術を日本で広めていくとともに、日本の文化や技術を求めている国では、私たちの技術を生かしていきたいと思っています。造園のニーズがある海外で、日本の技術を生かして勝負したい、文化を伝えていきたいという思いを持った若者の活躍も応援していきたいです。

◎アナログ価値取り戻す
 廣瀬 デジタルも良いと思いますが、アナログや身体感覚の価値を取り戻せるような教育事業ができないかと考えています。人間は五感の生き物で、特に子どもはデジタル化でそれがなくなってしまうことは良くないと思います。具体的にどんなことができるかは構想中ですが、例えば粘土など今ある文具でも、指が触れる感覚や匂いなど、使い方を昇華させれば、楽しく想像力が広がるような新しいものができるのではないかと思っています。

◎魅力発信できる地域に
 赤星 クルマ社会の群馬県でこれからの時代のモータースポーツとして、ルールの中で安全安心に走れるような枠組みができたらと思います。各拠点でそういった催しができたら面白いですね。地域を元気にするために役立つことを日々考え続けなければなりません。今回参加した地域のランドスケープ(景観)をつくっている人たちとこれから地域が変化していくのを見られるのは素晴らしいことだと思います。魅力が発信できるような地域を目指したいです。

【参加企業】

■アサヒ商会
 1948年、高崎市で創業。オフィス空間、リサイクルオフィス家具、文具小売の各事業を手がける。2010年に文房具専門店の店舗名を「Hi-NOTE(ハイ・ノート)」に変更。22年に経済産業省の「DX(デジタルトランスフォーメーション)認定事業者」認定。

■前橋園芸
 1970年、前橋市で創業。造園を柱に緑化工事の企画・立案、外構工事、室内庭園の設計・施工などの事業を幅広く手がける。国家資格である造園技能士などの有資格者をそろえ、さまざまな要望に応える。同市で生花を販売する花店「LEAFY」を運営。

■ジャオス
 1985年、東京都渋谷区で創業。四輪駆動車を中心とした自動車用品の企画開発・製造・販売を手がける。2000年に榛東村にある群馬工場に本社を移転・統合。同社と群馬トヨタグループの社員らで構成される「チームジャオス」がモータースポーツに参戦。

■宮下工業
 1952年、前橋市で創業。土木、建築、リフォームの各工事や不動産事業に取り組む総合建設会社。各部門のノウハウを相互に生かしたワンストップサービスを提供する。土木の施工では、最先端のICT(情報通信技術)施工を積極的に取り入れている。

■東京海上日動火災保険群馬支店
 日本初の保険会社として、1879(明治12)年に創業。1944年、前橋市に拠点を開設。幅広い保険・サービスの提供のほか、健康経営や事業継続計画(BCP)の支援なども行い、県内企業の持続的な成長と災害に強いサステナブルな社会づくりに貢献する。

ファイナルステージは12月6日@日本トーターグリーンドーム前橋

【GIA協賛社】

▼実行委員
 ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、日本通信、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、クスリのマルエ、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、コーエィ、国際警備、シーエスエム、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プラスエヌ、プリマベーラ、北海道電力、前橋園芸、増田煉瓦、宮下工業、メモリードグループ、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店

掲載日
2025/10/28

25.10.28 上毛新聞掲載はこちら