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《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(9)》まちに求められる存在へ

202511/18

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに語り合う座談会。9回目の4人は、地域課題の解決に向けて企業としてどのように寄与していくか、地域に求められる企業の在り方とは何かを話し合った。
(次回掲載は11月5日)

【座談会参加者】
糸井ホールディングス
代表取締役社長
糸井丈之氏
高崎信用金庫常務理事
経営管理部長
山田博文氏
太陽誘電執行役員
平國正一郎氏
国際警備代表取締役社長
山﨑 健氏

◆Q1.地域と共に歩む

◎次世代根付く故郷に
 糸井 総合リサイクル業を営み、来年で80周年を迎えます。リサイクル業は地域の循環の中で成り立ちます。人口減社会ですが、次世代にもこの地に長く根付いてほしい。群馬の人口減を緩やかにしたいとさまざまな仕掛けをし続けています。群馬ダイヤモンドペガサスやeスポーツを契機に、多くの県外出身者が群馬に住んでくれていると聞いています。時代を先読みしながら、どんな形で地域に存在価値・存在意義を表し続けられるか模索しています。

◎できることを還元
 山﨑 地元・高崎や群馬県の治安維持に警察と共に関わっていると自負しています。直接的・間接的に犯罪を防ぐ使命にあり、節度を持って仕事に向き合わなければなりません。売り手市場、人手不足の中での人材確保は当社でも課題です。
 会社を構えて50年がたちました。児童クラブや幼稚園で防犯教室を実施していますが、地域に貢献している先輩方にならって、警備会社としてできることを地元に還元していきたいです。

◎中小の事業支援に力
 山田 高崎は比較的人口・事業者減少幅が小さいとされ、恵まれた地盤だと感じています。しかし中小企業はさまざまな課題を抱えており、販路開拓や人手不足への対応等の経営相談が多くなっています。本部にビジネスソリューション担当を設置するなど、事業者支援に注力しています。昨年度は2534件あった事業支援相談のうち、2069件を何らかの課題解決に導けました。創業支援も49件サポート。地域密着型だからこそできたことだと思っています。

◎実証実験で防災力貢献
 平國 自動車やスマホなどに使用される電子部品の製造を行っています。主力の積層セラミックコンデンサでは世界3位のシェアがあり、売り上げは海外が90%以上、生産も海外が60%を占めています。一方で国内工場の多くは県内にあります。近年は社会課題解決に貢献する新事業創出にも力を入れ、実証実験の多くは県内で最初に行っています。例えば水害対策用として自社の技術を活かした河川モニタリングシステムを開発しています。地域の防災力向上に役立てばうれしいです。

◆Q2.新たな可能性と展望

◎進化するAI警備注目
 山﨑 今、販路拡大に力を入れている米国製拘束デバイス「BOLA WRAP(ボララップ)」は、コードで対象者を瞬時に拘束できる機器です。人権意識の高まりとともに海外では広がりを見せています。最近はAIを活用した装置もあります。カメラに映った人間のストレス度合いを認識できるもので、犯罪の防止に役立つと考えられています。要注意人物を警備員が注視したり声掛けしたりするだけで犯罪を防げる可能性があるとして、注目されている分野です。

◎つながり生む場を
 糸井 JOMOスクエアの2階にeスポーツに励む中高生のための「共同部室」を作りたいと動いています。ネットだけの関係もいいですが、オフラインで顔を合わせていろんな思い出を共有できる―そんな関係を築く場が必要ではないでしょうか。
 高崎スズランでキッズスペース事業を始めました。都心では1カ所で複数の習い事ができる「習い事の一元化」が広がりつつあります。“預かるだけ”を超えて、子どもの興味が芽生える場を作ります。

◎活力生む取り組みに
 平國 県内企業数社と女性活躍やダイバーシティを推進するプロジェクトに参画しています。製造業は女性従業員割合が少なく、当社も例外ではありません。誰もが働きやすい環境づくりを進め、各社で協力して地域全体のパワーアップにつなげていきたいです。採用にも力を入れており、多彩な人材を本県に呼び込めればと考えています。また、女子ソフトボールチームによる教室等を通じて地域の皆さまとの交流を深めています。

◎意識向上呼びかける
 山田 取引先の脱炭素化やSDGs・ESGへの意識向上を図っていくことが課題と感じています。当金庫では保険会社と提携してSDGs支援サービスや、CO2排出量測定支援サービスを行っていますが、中小企業の関心が高いとは言えない状況です。もう一つはDX化です。中小企業にとってハードルの高い部分でもあり、リコージャパンと提携して支援を強化しています。われわれが意識向上を呼びかけ、導いていく必要があると実感しています。

【参加企業】

■太陽誘電
 1950年、東京都で創業。各種電子部品の研究・開発、生産、販売に取り組み、グローバルに事業を展開。高崎、中之条、玉村に主要生産拠点を置く。創始者の佐藤彦八氏は榛名町(現・高崎市)出身。女子ソフトボール部はJDリーグ所属。

■糸井ホールディングス
 1946年、吉井町(現・高崎市)で創業。母体となる総合リサイクル業の糸井商事は原料、鋼材、工事、資源循環の四つの事業領域で展開。野球の群馬ダイヤモンドペガサスをはじめ、eスポーツ、農業など幅広く手がけている。

■国際警備
 1971年、高崎市で創業。機械警備や常駐警備といった法人向けセキュリティーサービスを主軸に、24時間安心の警備を提供する。2024年、拘束デバイス「BOLA WRAP(ボララップ)」を製造する米国ラップ・テクノロジー社と業務提携。

■高崎信用金庫
 1914年、高崎信用組合が創立。51年、信用金庫法により「高崎信用金庫」に組織変更。「地域に寄り添い、地域で最も信頼される金融機関」を目指すべき姿に掲げ、事業支援や創業支援のほか、SDGs、地域貢献にも力を入れる。

ファイナルステージは12月6日@日本トーターグリーンドーム前橋

【GIA協賛社】

▼実行委員
 ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、日本通信、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、クスリのマルエ、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、コーエィ、国際警備、シーエスエム、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プラスエヌ、プリマベーラ、北海道電力、前橋園芸、増田煉瓦、宮下工業、メモリードグループ、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店

掲載日
2025/10/30

25.10.30 上毛新聞掲載はこちら