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《群馬イノベーションアワード2025・トップ座談会(3)》若い世代育成に注力を

202510/10

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2025」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社のトップらが「本業と地域課題の接点」をテーマに語り合った。3回目は幅広い分野で活躍する4人が地域課題の解決に向け、自社の魅力を高めるとともに、次世代を担う人材育成に力を入れる重要性を共有した。
(次回は15日掲載)

【座談会参加者】
冬木工業代表取締役社長
大竹良明氏
みずほ証券高崎支店長
賀見武史氏
カネコ種苗代表取締役社長
金子昌彦氏
プラスエヌ代表取締役
野口和恵氏

◆Q1.地域と共に歩む

◎「四方良し」の理念
 大竹 当社は「四方良し」の理念を掲げ、お客さま、協力会社、社員、地域の「良し」を実現させ、良好な関係を築くことを大切にしています。2022年からは「群馬をリードする環境先進企業」を目指し、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を始動。協力会社も巻き込んだ、地域全体でのカーボンニュートラルへの取り組みに力を入れています。学生の就業体験の受け入れも積極的に行い、県や地元企業の魅力を広くPRしています。

◎地域守る防波堤にも
 金子 農業には、作物を育てるほかにも大きな役割があります。水や土を守り、生物多様性を維持しています。洪水や土砂災害から地域を守る防波堤にもなります。農家の平均年齢は70歳程度と言われ、収入の少なさや労働の厳しさから後継者不足が課題になっています。農業の価値を未来へつなぐため、体験型の食育を約20年間実施してきました。土を耕すところから始め、次世代を担う子どもたちに、命の大切さを学べる機会を提供しています。

◎職業の価値再評価
 野口 看護・介護職は社会に不可欠でありながら、過酷な労働環境・低賃金などの誤ったイメージから、自身の職業選択を迷っている学生もいます。職業の価値を再評価し、仕事の喜びや魅力を伝え、適切な情報発信をしていくことで、次世代育成につなげています。少子高齢化の進行や医療的ケア児・重症心身障害児の増加は、子育て・医療福祉サービスの維持に大きな影響を及ぼしています。地域全体の暮らしを支えることを重要な使命と捉えています。

◎知識や判断力育む
 賀見 当グループでは金融教育に注力しています。2028年までに金融教育を受けた国民を20%まで増やそうという政府目標があり、現役世代には老後の資金計画や資産形成の重要性を伝えています。ほかにも子どもたちが自立するための知識や判断力を育んでもらおうと、サッカーイベントと連携した小学生向けの金融教育イベントを開いたり、高校生・社会人向けのセミナーを開催したり、目標に貢献できるようグループ全体で取り組んでいます。

◆Q2.新たな可能性と展望

◎環境問題意識向上を
 大竹 建設業で遅れているとされるカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出量ゼロ)に向けた取り組みを実施し、無償で協力会社にノウハウとシステムを共有することで、地域全体での環境問題への意識向上を図っています。魅力ある企業づくりを支援し、地域への愛着と誇りを育めれば、学生の定着を促進できると考えます。東京などで就職を考えていた若者が県内に戻ってくる可能性も高まります。人口減少問題にも歯止めがかかるのではないでしょうか。

◎リテラシー向上目指す
 賀見 出身地の和歌山県でも、人口減少の裏側には企業不足の問題があるように感じています。私自身も就職先の選択肢が少なく、県外に出ざるを得なかった経験があります。魅力ある企業の存在は地方創生に不可欠だと思います。当社では「日本の家計資産を世界で生かす」取り組みを推進するため、若年層向けにもNISAやiDeCo(イデコ)について学べる機会を提供しています。幅広い層に応じた金融リテラシ-の向上を図っていきたいです。

◎経験が成長の糧に
 野口 私自身も群馬イノベーションスクール(GIS)に参加しました。子育てと両立させながら必死に勉強した経験は糧となり、成長させてくれました。異業種交流で出会った経営者から得られたアイデアや、行動力のある人との出会いが今につながっています。大企業の経営者と自身の悩みに共通点があることへの気付きにも、勇気づけられてきました。人口減少の時代には、一人一人の能力を高めていくこと、人を育てていくことが大切だと思います。

◎持続可能な農業実現
 金子 品種改良を通じ、肥料や農薬の量を減らしながらも生産性を維持できる、持続可能な農業を実現させていきたいです。(野口さんのお話から)障害のある方と農業の親和性は高いと思います。発達障害のある子どもたちが土に触れる体験を通じて成長できる可能性にも注目し、インクルーシブ(包摂的)な社会をつくっていきたいですね。地域づくりには各企業が自社の強みを生かし、業種を超えた連携が大切。教育の持つ力は大きいと感じました。

【参加企業】
■みずほ証券
 みずほフィナンシャルグループの中核を担う総合証券会社。同グループの強固な営業基盤を生かし、株式・債券・M&Aアドバイザリーなど国内外の顧客に幅広い商品ラインナップや総合金融サービスをワンストップで提供している。
■プラスエヌ
 2016年設立。高崎市に本社を置き、訪問看護や児童発達支援・放課後等デイサービス、生活介護などを展開する。21年にはNPO法人きびるを設立。母子支援や次世代の専門職育成にも力を入れる。
■冬木工業
 1927年創業。建物の設計、施工、アフターフォローまでを担う総合建設と、建物を支える鉄骨製造の2本柱で事業を展開する。最近ではサステナビリティ(持続可能性)分野に力を入れており、取り組みは県内外から注目されている。
■カネコ種苗
 120年以上の歴史を誇る種苗メーカー。多様な作物の品種開発や農業資材の提案を通じて、持続可能な農業に貢献している。商社機能も併せ持ち、農業総合企業として世界の食や農業を支えている。

ファイナルステージは12月6日@日本トーターグリーンドーム前橋

【GIA協賛社】
▼実行委員
 ジンズホールディングス、オープンハウスグループ、カインズ、群馬銀行、日本通信、上毛新聞社
▼特別協賛社/セガサミーホールディングス、冬木工業、糸井ホールディングス、ファームドゥグループ
▼特別パートナー/コシダカホールディングス、相模屋食料
▼パートナー/相川管理、赤尾商事、アサヒ商会、アゼット、石井設計、石川建設、石田屋、うすい、ATホールディングス、NTT東日本群馬支店、オルビス、カネコ種苗、共愛学園前橋国際大学、クシダ工業、クスリのマルエ、グリンリーフ&野菜くらぶグループ、グルメフレッシュ・フーズ、群馬トヨタグループ、コーエィ、国際警備、シーエスエム、JR東日本高崎支社、JTB群馬支店、ジャオス、ダイコー、太陽誘電、大和ハウスリアルティマネジメント、高崎佐藤眼科、田子会計事務所、中央カレッジグループ、西建、花助、HAWORD、BMZ、広田住宅センター、富士スバル、プラスエヌ、プリマベーラ、北海道電力、前橋園芸、増田煉瓦、宮下工業、メモリードグループ、ヤマト、ユナ厨房
▼フィナンシャルサポーター/アイオー信用金庫、北群馬信用金庫、桐生信用金庫、群馬県信用保証協会、しののめ信用金庫、大和証券高崎支店、高崎信用金庫、東京海上日動火災保険、東和銀行、日本政策金融公庫前橋支店・高崎支店、みずほ銀行前橋支店・高崎支店、みずほ証券、三井住友銀行北関東法人営業第一部、三菱UFJモルガン・スタンレー証券大宮支店

掲載日
2025/10/09

25.10.09 上毛新聞掲載はこちら