
考える過程が成長促す
コシダカホールディングス
腰高 博社長

考える過程が成長促す
コロナ禍が長引き業績はかつてない打撃を受けたが、順調に回復している。この2年半、感染者数が減ってくると客足が戻り、増えると客足が遠のくということの繰り返しだった。第7波で下押しされたが、客入りのピークとなる今年の年末年始には普通に戻っているのではないかと期待している。
昨年は店舗の7、8割が休業し、アルバイトスタッフがどんどん辞めていった。必死で採用して教育するものの、一人前になった後に休業でまた辞めてしまうので、従業員のモチベーション維持が最大の仕事だった。そのような中でも出店攻勢は継続した。同業他社の店舗は減少したが、当社は出店を重ねて純増70店、総店舗数は600店に迫っている。こうした逆張り経営の成果で5、6月の売り上げはコロナ前と比べて140%に上がった。
「エンタメをインフラに」との方針で、カラオケ以外にもルーム利用の可能性を広げている。音楽ライブなどを生配信できる「ライブビューイング」のほか、歌唱動画を撮影できる「ONEREC(ワンレック)」を導入。ワンレックは自社開音源を使っているので、安心して録音データを会員制交流サイト(SNS)で拡散できるのが強みだ。
若い人の働くことに対する考え方が大きく変わってきているため、今期は働き方改革に取り組む。時代に合わせることで、現場の活性化、退職率の改善など良い相乗効果を生むはずだ。
一昨年、JR前橋駅北口の複合ビルを取得。「アクエル前橋」として新装オープンした。今年7月にはデロイトトーマツグループ(東京都)が入居。オフィスエリアはほとんど埋まり、テナントも増えてビル全体が明るくなった。前橋市が高校生の学習室を開設したことで、若い人が集うようにもなった。人が出会い、化学変化が起こるような施設を目指したい。
起業を目指す人は物事を難しく捉えずに行動することが大切。うまくいかないことの方が多いが、頭をひねって考える過程が起業家としての成長につながる。成功する確率は高くはないが、決してゼロではない。行動力や発想力のある20~30代の若い時こそ可能性に懸けてほしい。
22.9.24 上毛新聞掲載はこちら