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GIA2022 トップ座談会③

202211/09

起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」トップ座談会の3回目は、座長の荒井正昭オープンハウスグループ社長ら12人が、「イノベーションの先にあるもの」をテーマに、各業界の事業内容を見直して進化、成長する姿勢や目指す目標、今後の展望について活発に意見を交わした。

■失敗を恐れず挑戦 メイクワングループ代表 武井 一樹氏
不動産、建築、福祉、食品、美容の五つの分野でお客さまに必要とされる新たな商品やサービスを開発して提供している。
創業時から未来に何ができるかを常に考え、お客さまに喜ばれるモノやコトを生み出すことに企業家としての醍醐味(だいごみ)を感じてきた。
創造した商品やサービスにさらに磨きをかけ、挑戦し続けることが、イノベーションを起こすきっかけになると考えている。そのため、社員には徹底して「失敗を恐れず挑戦し、仕事を楽しもう」と言い続けてきた。
企業の成長は社員の成長と共にある。失敗から学ぶことで成功に導き、お客さまの必要性を最大化して進化し続けたい。

たけい・かずき 1985年、高崎市生まれ。20歳で不動産建設業に就き、24歳で独立。国内外で100以上の店舗開発に携わり、時代に合うサービス創出に注力。不動産、建設、福祉、食品、美容などの事業を展開する

■人材育成で差別化 オープンハウスグループ社長 荒井 正昭氏
住宅建築、販売などの不動産業を展開、今秋創業26年目を迎えた。連結売上額は予測よりかなり早いペースで1兆円に届く見込みだ。
米国のIT系不動産会社は株価が10分の1に下落し、経営状態は良くない。イノベーションは簡単には起こらないと考えている。特に住宅販売がメインとなる不動産業の根本は、優秀な人材の確保が全て。お客さまと直接関わる営業マンのレベルアップは必要不可欠。その点は今後も変わらないと思う。
少子化が著しい中、ITは業務の効率化には大きく貢献するが、弊社は長く働いてくれる人材育成に注力して他社との差別化を図る。それが勝者になる道と考えている。

あらい・まさあき 1965年、旧藪塚本町(現太田市)生まれ。都内の不動産会社勤務を経て、97年に不動産業のオープンハウスを設立。2013年に東証1部上場。19年に群馬クレインサンダーズの運営会社を子会社化

■新たな事業を創出 コーエィE・C事業部統括部長 加藤 満氏
建設機械のレンタルやイベントの企画運営、環境機器の設備工事事業を展開している。
コロナ禍でイベントが無くなり、培ったノウハウを感染対策に生かして県からワクチン接種会場の運営を受託。毎日、数百人のスタッフがGメッセ群馬で1万人規模の会場運営を約1年間行った。
前橋市の「粕川温泉元気ランド」と「あいのやまの湯」の指定管理事業にも進出。12月にプールを閉鎖して子ども向けチャレンジ広場を開設し、アミューズメント型の日帰り温泉を目指している。
観覧車で公園をPRする遊園地事業も始めた。イベントとは全く違う形態の新事業開発への挑戦というイノベーションを行っている。

かとう・みつる 1967年、埼玉県熊谷市生まれ。イベント事業の全体管理と営業を担当。ラグビーワールドカップ2019、東京オリ・パラ2020に関わり、PⅢ戦略室長も兼務、公共施設等のPPP事業にも取り組む

■地域に利益を還元 ウベハウス東日本社長 反町 優哉氏
土木、建築、不動産などを手がける総合建設業で、公共事業が受注の中心。関連会社で介護事業やキャンプ場を経営している。
コロナ下でリモート会議が普及した。元々あった遠隔会議のやり方だと思うが、そうせざるを得ない状況になって初めて皆がその価値を再認識した。そこからイノベーションが起こるのではないかと感じている。
住を担う弊社は「充実した暮らし」そのものをお客さまに提案している。社員とその家族を大切にすることが経営理念。少子化やコロナ下で事業は難しい局面にあるが、地域や県全体に波紋のように利益を還元し、貢献できる企業に成長していきたい。

そりまち・ゆうや 1989年、高崎市生まれ。2017年、大学卒業と同時に先代社長、反町晴美の急逝に伴い社長就任。建築・土木・不動産の総合建設業を営む。系列企業で介護施設やキャンプ場などの運営を行う

■「次」の追究続ける 太陽誘電開発研究所長 平国 正一郎氏
スマートフォンや自動車などで使用する電子部品の研究、開発、製造、販売を手がける。
研究所でも「イノベーション」は飛び交う言葉だが、インベンション(発明)とイノベーション(変革)は違う。スマートフォンのように人々の生活をがらりと変えてこそ、変革だと言われている。
1988年、世界初となるデジタルデータの記録製品「CD―R」を発明し、「That’s」シリーズを販売した。好みの音楽や映像の録音、録画ができるようになり、世の中を変えたと思う。その後、記録媒体は半導体に換わり、ディスクは使われなくなった。一つ成功しても「次は何だろう」と常に考え、追究し続けることが大切だ。

ひらくに・しょういちろう 1965年、鹿児島県鹿児島市生まれ。大学卒業後、88年太陽誘電入社。主に研究所で研究開発に従事。2017年から現職

■「自社一貫」に注力 ゴダイ社長 多部田 敬三氏
「石のゴダイ」は今年、創業35年を迎えた。従来の供養の形は大きく変わり、墓石が売れなくなった。6年前から葬儀、仏壇、霊園、永代供養墓、法事、終活支援まで自社一貫して手がけるワンストップサービスを始めた。
葬儀は避けられない行事だが、明るいイメージで営業していこうと、イオンモール高崎内に業界としては珍しい終活相談の店舗を9月にオープンした。少子高齢社会の中、心配事を抱えて無料相談に訪れる来場者が多い。
お客さまに寄り添い、満足していただける一貫したサービスの確立に力を入れている。人材のレベルアップにも努め、終活を切り口にマイナーな商品をメジャーに育てたい。

たべた・けいぞう 1955年、太田市生まれ。桐生商業高卒業後、就職。2社での勤務を経て31歳の時に伊勢崎市でゴダイを独立開業。「供養のワンストップサービス」を掲げ、北関東を中心に営業展開している

■アイデア出し行動 NTT東日本群馬支店長 橋本 寿太郎氏
群馬に通信局ができて145年。支店社員400人のうち9割が県内在住者。地域に根付いた企業として、大都市一極集中から地方への分散化・多極化を通信面でしっかりサポートしたい。
今の社会をよく観察し、中長期的に役に立つ事を目標に定め、アイデアを出して行動する。その循環を続けることが必要だと思う。
人口減少社会を見据えてインターネット上の仮想空間「メタバース」を活用した調剤業務サービスなどに挑戦している。成否は分からなくても、地域の皆さんと共に挑戦することが、イノベーションへの一歩につながる。ある分野の頂点に立つことで見える景色が変わってくると思う。

はしもと・じゅたろう 1972年、福島市生まれ。95年NTT入社。NTT東日本千葉事業部企画部長などを歴任。2021年6月より現職。群馬の企業として地域と共に歩むよう、社員の意識改革に努めている

■経営の改善 後押し 田子会計事務所代表 田子 宏美氏
2代目となって3年。中小企業経営者の課題を解決して安定経営を図り、共に成長する「頼れる会計事務所」を目指している。
お手伝いした中小企業の困りごとは多岐にわたり、コロナ下でもお客さまが増えた。「人、お金、税金、経営」の専門家をそろえ、ワンストップで課題を解決できる体制づくりを進めている。
電子帳簿保存法が改正され、来年からインボイス制度が始まる。知識や技術、システムのない中小企業の旧来の会計業務を省力化し、データを経営改善に生かす仕組みも整えている。中小企業の持つ「目に見えない財産」が輝けるように、次世代に承継するお手伝いもしていきたい。

たご・ひろみ 1980年、前橋市生まれ。税理士、中小企業診断士。名古屋で勤務後に帰郷し、2019年から現職。女性経営者、創業者の支援、事業承継、コンサルティングに力を入れている

■目的は「SDGs」 富士スバル会長兼CEO 斎藤 郁雄氏
群馬と栃木で国産と輸入車の販売、整備事業を展開し、今年創業75周年を迎えた。10月にノルウェーを視察した。政府の全面的支援で販売車両は、ほぼ電気自動車。自国に自動車産業がないため、電動化に大きく舵(かじ)を切れた。
電気自動車の部品は従来の3分の1で済み、日本の基幹産業を支える中小企業の雇用維持は難しい。ドイツも似たような状況だ。自動運転は欧州と同等の水準だが、自動運転車とそうでない車が混在する状況は、非常に危険だと言われている。
自動車業界におけるイノベーションの目的やその先にあるのは、北欧の人が考える「自然との共生、交通事故ゼロ」に行き着く。SDGsに近い印象を受けた。

さいとう・いくお 1967年、前橋市生まれ。大学院修了後、外資系証券会社勤務を経て富士オート入社。2003年にグループ会社のユーロブレッツア代表取締役社長、15年から現職

■物件に感動を付加 広田住宅センター社長 広田 金次郎氏
高崎、前橋の両市で不動産の仲介、管理業を中心に経営しているが、最近は相続にまつわる業務も増えている。
世の中の価値観を劇的に変えるだけでなく、持続して物の価値を高めたり、システムや性能を改善したりすることもイノベーションの一つととらえている。大量消費社会で物があふれているが、全ての不動産は同じ造りでも日当たりや広さなどによって世界にただ一つのものになる。
良質な物件は大前提だが、これからは一つ一つの物件にストーリーや感動を付加したいと考えている。敷居の高いイメージを払拭し、お客さまがどこで取引しても、均一なサービスや満足が得られるように力を尽くしたい。

ひろた・きんじろう 1977年、高崎市生まれ。大学卒業後、91年、23歳で広田住宅センター入社。賃貸仲介、売買仲介業務を経て2016年から同センターおよびグループ会社の代表に就任

■社員の交流に期待 前橋園芸社長 中村 敬太郎氏
造園や外構デザイン、観葉植物のレンタル、切り花の販売などを手がけている。
豊かな自然の楽しみ方は、個人の庭から公共の場所で共有する形に変わった。お客さまに選ばれるためには変化することが必要。今年、沼田市白沢町に展示場を兼ねたグランピング・オートキャンプ場をオープン、プールとサウナも併設した新事業を始めた。
植物を育てて喜ばれる空間をつくる造園業と、心の交流で満足していただく宿泊業という全く異なる考え方を持つスタッフの交流が始まった。新たな可能性が生まれ、その先にイノベーションが起きるのではないかと期待している。変革の先にあるのは変革だと思う。

なかむら・けいたろう 1971年、前橋市生まれ。造園・外構工事会社を経て、2003年に家業の前橋園芸入社。10年から現職。外構造園の設計施工、観葉植物レンタル、生花販売などを手がける

■喜ばれる事業創る プリマベーラリユース事業部長 守田 達郎氏
県内を中心に4事業部17業態で「もったいない」をビジネスに、古着のリユースショップや書店を運営する。
2017年、現場スタッフの声から始めたヘアカット用はさみ「シザー」のリサイクル事業は右肩上がりで伸び、年商が4千万円になった。人材の育成やサービスの効率化を進めてイノベーションが起きたと思っている。
自社開発したオンライン日報の「日報革命」を活用してスタッフ全員の意見を集約している。イノベーションにつながる小さな声や意見を発見し、挑戦できる環境を育てて維持している。シザーのように、お客さまに喜ばれる画期的なサービスを生み出し続けることを大切にしたい。

もりた・たつろう 1985年、富山県氷見市生まれ。古着や貴金属、骨董(こっとう)品などのリサイクル事業を中心に県内外で展開するプリマベーラに2008年入社

22.11.09 上毛新聞掲載はこちら

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GIA2022 トップ座談会②

202211/02

起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」トップ座談会の2回目は、座長の糸井丈之糸井ホールディングス社長ら10人が「イノベーションの先にあるもの」をテーマに、地域愛や企業理念など変革に取り組む原点から新たな挑戦に臨む姿勢、発想までさまざまな視点で意見を交わした。

■街の活性が原動力 糸井ホールディングス社長 糸井 丈之氏
総合リサイクル業の糸井商事を営む傍ら、野球の独立リーグ、群馬ダイヤモンドペガサスの運営やeスポーツ推進などにも取り組んでいる。事業継承と新たな事業の創始の両方を体験し、変革の重要性を感じている。
本業以外の活動にも力を入れているが、その原動力は、先祖代々暮らしてきた群馬の地に、子どもや孫も住み続けてほしいという利己の思いだ。そのためには街全体を活性化し、新陳代謝をし続ける地域でなければならない。地域が元気でなければ仕事も立ちゆかなくなってしまう。
今後も「群馬を元気にしたい」という思いの輪を広げ、地域の発展のために力を尽くしたい。

いとい・たけゆき 1954年、高崎市生まれ。79年に糸井商事入社。群馬ダイヤモンドペガサス球団会長や群馬eスポーツ社長、NPO法人群馬外国人支援センター理事長なども務め、地方創生に力を入れる

■時代の変化に適応 石井設計グループ代表 石井 繁紀氏
総合建築事務所の石井設計と石井アーキテクトパートナーズ、まちづくりコンサルタントの石井アーバンデザインリサーチの3社で事業を展開している。
3次元設計といったデジタル技術の導入やカーボンニュートラルの取り組みなど、建築業界でも技術革新が進んでおり、今後は建築物と都市機能のデジタル連携が進んでいくと予想している。
会社の歴史を振り返ると、高度経済成長で土台を築いた一方、バブル崩壊で下降線を経験するなど、時代とともに浮き沈みをしてきた。時代の変化を読み取り、先を見越した取り組みこそがイノベーションを生み出す力へつながると思っている。

いしい・しげのり 1964年、前橋市生まれ。大学卒業後、石井設計入社。2004年から石井設計、石井アーキテクトパートナーズの社長を務め、15年に石井アーバンデザインリサーチを設立。1級建築士

■AIで人材を育成 大塚商会高崎支店長 大野 晃氏
システムインテグレーションや事務機器の販売・サポート事業などを展開している。中でも、CAD(コンピューター利用設計システム)の販売数は世界一を誇る。
当社は営業日報の管理など人工知能(AI)の活用が進んでいる。ビッグデータをもとに、AIが訪問先の顧客を提案してくれる仕組みだ。近年は提案された顧客の決定率が十数パーセント向上。AIが着実に成長している証拠だ。
人材確保が課題となる中、AIを人材育成にも活用できないかと考えている。社員が培ってきた営業ノウハウをデータ化し、営業支援ツールとして還元すれば、効率的な育成につなげられるはずだ。

おおの・あきら 同社では県内初の営業拠点として、2017年に高崎支店が開設。支店開設は27年ぶり。開設当初から、同支店長を務めている

■変化の連鎖が下地 クシダ工業社長 串田 洋介氏
設備工事や配電盤製造、制御システム開発を行っている。建設業界はイノベーションから遠いと言われてきたが、効率や安全性を追求する中で、新たな技術を取り入れることの大切さを実感する。
イノベーションの先には、新たなイノベーションの入り口がある。インパクトを与える革新的なものを生み出すことだけでなく、日々の小さな改善を積み重ねていくこともイノベーションだ。
われわれの仕事で言えば、小さな部品の作り方を変えることで、コスト削減や強度、安全性の向上につながる。変化の連鎖が大きな変革の下地になる。インフラを支える企業として小さな積み重ねを大切にしたい。

くしだ・ようすけ 1979年、高崎市生まれ。2009年、クシダ工業入社。17年、IoTソリューションを手掛けるエルスピーナヴェインズを共同創業。予知保全システム、脱炭素社会に寄与する製品の研究開発に取り組む

■介護の価値を向上 晃希社長 高橋 将弘氏
デイサービスと有料老人ホームを運営する。介護のマイナスイメージを払拭しようと「介護福祉業界の革命家 たかはしまちゃぴろ」としてYouTubeを通じて、介護の魅力や価値などを発信している。
最近では、関越交通とコラボしたバスのラッピングやクラウドファンディングにも挑戦した。
介護現場では、仕事にやりがいを感じている職員が多くいる。そうした現状をしっかりと発信することで、仕事自体のブランドイメージを向上したい。将来なりたい職業として子どもたちに選ばれる仕事にすることが目標だ。そのために今後も新たなことに挑戦する姿を見せていきたい。

たかはし・まさひろ 1982年、みなかみ(旧月夜野)町生まれ。23歳の時、無資格・未経験で介護現場に飛び込む。26歳で介護福祉士取得。管理者、施設長を経て2017年、晃希を設立

■原点忘れず変革を 国際警備社長 山﨑 健氏
機械警備や常駐警備のほか、貴重品運搬、入退室管理など警備に関すること全般を扱っている。
イノベーションの先には、原点回帰があると考える。変革ばかりを求めると、原点を忘れがちになってしまう。
創業者の父は東京出身で縁あって群馬で起業した。地域に支えられ昨年、50周年を迎えることができた。地域への愛情や顧客への感謝、創業者の理念など、会社を作り上げてきた基本を守った上で、イノベーションを進めていくことが重要だ。
警備業にもイノベーションが求められている。今後も会社の初心を忘れずに、積極的に新たなチャレンジを続けていきたい。

やまざき・けん 1969年、東京都生まれ。大学院で危機管理を学び、修了後に米国留学して3年間、危機管理を研究。97年、27歳の時に国際警備に入社し、2012年から現職。「危機管理のプロ」を自認

■新社屋で地域貢献 ジャオス社長 赤星大二郎氏
SUV車のカスタムパーツなどの製造、販売をしている。海外でのレースにも積極的に参加し、今年は新たにメキシコで開催されるオフロードレースへの参戦を予定している。
当社は東京で創業した。群馬に本社を移したのは2000年のこと。3年前にGIAに参加し、多くの経営者の思いに触れ、刺激を受けた。主要な商圏が首都圏や海外ということもあり、これまで地域への思いは強くなかったが、地域貢献について考えさせられる良い機会になった。
来年の竣工(しゅんこう)に向け新社屋建設の準備を進めている。第2創業のつもりで、イノベーションが生まれるような場にし、地域の雇用にも貢献したい。

あかほし・だいじろう 1972年、東京都生まれ。大学卒業後、カナダで3年間過ごす。97年にジャオス入社、2008年から現職。3年前まで5年連続でアジアクロスカントリーラリーに出場し、クラス優勝を遂げた

■リアルな接点重視 タカラコーポレーション常務 榎本 太平氏
携帯電話ショップの運営を中心に、人材紹介、職業訓練といった事業を展開している。
イノベーションの目的は経営理念の実現だと考える。経営理念として「感動経営」を掲げており、社員感動、顧客感動、社会貢献の三つをミッションとしている。当社のビジョンに定めている「みんなのわくわくを創造する」ことが、イノベーションの原点だ。
技術革新の進展により、人でなければできない仕事が活性化するとともに、リアルな接点の重要性も上がる。当社はBtoCの仕事が中心で、直接お客さまと触れ合う社員も多い。価値のあるサービスを提供できるよう、今後も社員一丸で知恵を絞りたい。

えのもと・たへい 1981年、東京都生まれ。大学卒業後、システムインテグレーターで法人営業を担当。2011年、タカラコーポレーションに総務部長として入社、現在に至る

■動き止めずに挑戦 プリエッセ社長 竹内 一普氏
葬儀一式を請け負う葬儀社を営む。業界はコロナ禍で施行数の落ち込みとともに単価も減少。年商ベースで1割以上ダウンと厳しい状況だった。
逆境を打破しようと、プロジェクトチームを立ち上げ、自社のオリジナル商品創出に取り組んだ。そうして生まれたのがさまざまなニーズに対応した選べる家族葬「ERABEL(イラベル)」だ。社員たちのアイデアを結集したプランは好評で、数字としても結果が出たことで社員たちの自信につながった。 イノベーションには動きを止めないことが重要だ。10月からは新たな法人プランを開始した。初めて対象を高崎市内から県内に拡大し、新たな挑戦になる。

たけうち・かずゆき 1969年、高崎市生まれ。大学卒業後、京都公益社を経て97年に帰郷し、武内葬儀社(現プリエッセ)へ入社。創業120年の2014年から現職。一級葬祭ディレクター。高崎観光協会副理事長

■新たな働き方提案 ボルテックス社長兼CEO 宮沢 文彦氏
オフィスビルをフロアごとに分譲販売する「区分所有オフィス」を手掛けている。
当社は、今までの成長過程において、会社を支えてきたキーマンが辞めてしまうなど人材に苦労した経験も多い。人材の流出は会社のダメージに直結すると思っていたが、逆に業績が伸びることが分かった。抜けた穴をカバーするために、社員が成長するからだ。
そうした経験を背景に従業員が自社への帰任を前提に他社や異業種に出向する「Vターンシップ」という新たな人材サービスの提供を開始した。人脈やノウハウなど新たな経験を得ることができ、伸び悩んでいた若手や中堅社員が一気に成長できるなど利点が多い。

みやざわ・ふみひこ 1965年、前橋市生まれ。89年に大学卒業。証券会社経験後、不動産会社で営業部長として不動産コンサルティングなどを手掛ける。99年にボルテックス設立

◎12月4日にファイナルステージ 高校生100人 ダンスで彩る
「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)のファイナルステージが12月4日、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で開かれる。2次審査を通過した16組が、斬新なアイデアやプランをプレゼンテーションする。
ファイナルステージは午後1時開幕。出場者のプレゼンテーションのほか、GIA実行委員によるパネルディスカッションも行われる。
オープニングアクトを飾るのは、高崎頼政太鼓の演奏。力強いかけ声と太鼓の響きでイベントが幕を開ける。プレゼンテーションの後には、インターバルコンテンツとして、県内の高校生たちがコラボダンスを披露する。「魂舞(ソウル)」をテーマに、安中総合高、健大高崎高、高崎工高、樹徳高の4校約100人が息のそろったパフォーマンスで、ステージを華やかに彩る。
ファイナルステージは入場無料。問い合わせは事務局(☎027・254・9955)へ。

22.11.02 上毛新聞掲載はこちら

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GIA2022 トップ座談会①

202210/26

 起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と特別協賛社、パートナー企業によるトップ座談会(全6回)が、前橋市の上毛新聞社で行われた。テーマは「イノベーションの先にあるもの」。第1回は座長の田中仁ジンズホールディングスCEOら11人が、変革の先に目指す未来や目標、取り組みについて意見交換した。

■社長自ら「本気」に ジンズホールディングスCEO 田中 仁氏
 20年前に眼鏡の販売を始めた。変化の激しい世の中で「今のままで生き残れるのか」と危機感を持っている。これまでもデジタルを活用し改革を進めてきたが、本質的なイノベーションは見いだせていない。
 もう一度、初心に戻り「ベンチャースピリット」を取り戻そうと、現在のオフィスから東京・神田の再開発で取り壊しが決まっているビルに移転する。組織は大きくなるにつれ「誰かがやってくれるだろう」という考えの人が増える。そんな時こそ、社長自ら「本気」にならなければ社員に響かない。イノベーション以前に「どんな会社にしたいのか」と、社員一人一人が問うことが必要だ。

 たなか・ひとし 1963年、前橋市生まれ。88年にジェイアイエヌ(現ジンズホールディングス)を設立、2001年、アイウエアブランド「JINS」を開始。14年、起業支援・地域振興を目的に田中仁財団を設立

■社員や地域に笑顔 冬木工業社長 大竹 良明氏
 ビルなどの総合建築と建物の梁(はり)や柱となる鉄骨製造の2本柱でやっている。大規模な建設会社でも自社で鉄骨がつくれるところはほぼなく、そこが強みだ。GIAには初回から参加し、今年は区切りの10回目。私も60代に入り、自分に対してもイノベーションを起こしていかなければと思っている。
 どんなに人工知能(AI)が進化しても「人」を中心に据えた経営を信念にしている。建設現場のIT化を進めているが、それが本来の目的ではない。デジタルを活用することで仕事をしやすくし、社員が幸せになることが重要だ。イノベーションの先に、社員や顧客、地域の人々の「笑顔」をつくりたい。

 おおたけ・よしあき 1960年、安中市生まれ。大学卒業後、19年間の銀行勤務を経て、2003年に総合建設の冬木工業に入社。08年から現職。県鐵構業協同組合理事長、全国鐵構工業協会副会長

■長く働ける環境を エムサロン社長 前原 弘隆氏
 美容室を前橋、高崎、伊勢崎に5店舗展開している。元々は流行の発信地・原宿で美容師をしていた。10年ほどして地元に戻り、店舗経営に携わるようになった。来年で20周年になる。
 美しさの定義は時代の変遷と共に変わり続けていくが、人の手の温もりを感じるサービスは普遍的な価値があると考えている。今、美容師のなり手は減少しているが、長年美容業界に携わってきて「人を美しくする」素晴らしい仕事だと誇りを持っている。美容師が長く働ける環境をつくりたい。今はSNSの発達により地方でも集客できる時代になった。エムサロンを群馬で一番愛される美容室に成長させたい。

 まえはら・ひろたか 1975年、大泉町生まれ。美容専門学校卒業後、原宿のヘアサロンに入社。数多くのトレンドヘアスタイルを手がける。2002年、エムサロン開業。県内にトータルビューティーサロン5店舗を展開

■主体的に行動、参画 グルメフレッシュ・フーズ社長 松本 健氏
 前橋で食品製造をしている。主に、群馬名物のもつ煮やホルモン焼きをスーパーマーケットや飲食店に卸している。
 ここ数年、原材料費や人件費が上がり苦しい状況が続いている。コストカットや業務の効率化を図り、なんとか売り上げ目標を達成してきた。イノベーションを起こしたいと思っていても、いきなり大きな改革は難しい。小さな変化の積み重ねが大きな変革を起こすと思う。社員自ら「お客さまファースト」の目標を掲げ、正面玄関の清掃を徹底するなど行動につなげた。イノベーションの先にあるのは「一人一人が主体的に行動し、参画できる力を持つこと」だと考えている。

 まつもと・たけし 1971年、前橋市生まれ。大学卒業後、98年にグルメフレッシュ・フーズを設立。「安心とおいしさをまごころこめて」を理念としている。2017年、グロービス経営大学院にて経営学修士を取得

■動脈産業の一助に 群成舎取締役イノベーション事業部長 芝崎 友哉氏
 「ビジネスで環境問題を解決する」をテーマに、高崎で事業を営んで65年になる。リサイクル事業や建物管理、水の力で電気をつくる事業なども展開。近年は従業員も増え、若者に興味を持ってもらえる業界になったと感じている。
 製造業を動脈に例え、産廃処理などの裏方の仕事という意味で、リサイクル業は静脈産業と言われている。この業界は人の力に頼る面が大きく、イノベーションが遅れている。人件費の増大は製造業の産廃処理コストに影響してしまう。デジタル技術を取り入れることでコストを削減し、製造業活性化、経済活性化の一助になりたい。いずれは、力のある業界に育てたい。

 しばさき・ともや 1985年、高崎市生まれ。大学卒業後、市川環境エンジニアリングで環境保全に関わる事業開発に従事。2016年、同社を退社。大学院で経営学を学び、修士課程在学中、M&Aを研究。19年から現職

■「群馬のため」尽力 第一生命保険群馬支社長 野田 強氏
 群馬に着任して3年半。「群馬のために何をしたらいいか」と自分なりに考え、行動してきた。
 県内には群馬、太田の2支社があり、千人近くの従業員が働いている。9割以上が群馬で生まれ育ち、現在生活している。弊社は全国組織ではあるが「第一生命保険群馬販売株式会社」だと考え、群馬の利益のため、ここで生きる従業員の生活の質向上のためにも尽力している。さまざまな地域貢献活動に加え、県内27市町村と子育て支援等で協定を結んでいる。「群馬活性化の一助に」と、GIAに初めて参加させていただいた。機関投資家として地域のために有効な投資を進めていきたい。

 のだ・つよし 1964年、東京都杉並区阿佐ケ谷生まれ。大学卒業後、第一生命に入社。佐世保、宮崎にて6年間支社長職を務め、2019年から現職。「一生涯のパートナー」として地域社会のための貢献活動を積極的に推進

■顧客と語り合う場を 永井酒造社長 永井 則吉氏
 川場村で136年、酒蔵を営んでいる。現在、日本酒全体の市場は縮小し、出荷量はピーク時の4分の1に減少した。弊社は「スパークリング日本酒」「ビンテージ日本酒」「水芭蕉 アーティストシリーズ」の3本柱で、日本酒の価値概念を変える挑戦をしている。
 コロナ下は、飲食店で酒を飲んでもらえない期間が続いた。本来、酒は人をつなぐ存在。お客さまともっとつながりたいと思う中で、医療用アルコールの製造ができたことは喜びだった。県民の皆さまが飲み支えてくれたことも感謝している。これまで以上に本気でお客さまと向き合うため、社内にテイスティングサロンを作り、語り合う場にしたい。

 ながい・のりよし 1972年、川場村生まれ。95年に永井酒造に入社。専務取締役工場長を経て2013年から現職。世界基準を設定した「awa酒協会」を16年に設立し、理事長を務める。会員酒蔵は30社に上る

■利益で社会に貢献 花助社長 小林 新一氏
 前橋で「花助」というフラワーネットワークを運営している。全国の花屋130店舗と事業提携を結び、地域を問わず花を届けている。GIAには第1回大会から登壇者として参加。その経験が、現在の会社の骨格をつくったと思っている。
 以前、ジンズの田中氏から「花助は社会に何を提供する会社なんだ」と問われたことがある。それがきっかけとなり「前橋の花屋」という意識から、全国を相手にするフラワーネットワークであるという覚悟ができた。「何を社会に提供するか」を考えることで、ターゲットの顧客や提供するものの価値が見え、利益につながった。「花助」を社会に貢献できる企業に育てたい。

 こばやし・しんいち 1972年、前橋市生まれ。米国、オランダに留学して花作りを学び、帰国後に花き農家などを経験。2005年に生花店開業。独自に構築した生花店ネットワークで花を届けている

■社員の挑戦を評価 美喜仁社長 坂入 勝氏
 すし店を桐生と太田、高崎に5店舗、そのほか弁当店なども経営している。18年前、老舗すし店では当時珍しかった全室個室、タッチパネルのセルフオーダーシステムを導入した。業績は上がったが、急な忙しさから社員の離職が増えたこともあった。現在は「社員の笑顔を第一に」と改革に取り組んでいる。
 お客さまの笑顔をつくるのは社員であり、笑顔は利益へとつながる。社員の挑戦を評価する仕組みを整え、それが根付く社風を目指す。3年前の春には、コロナで売り上げが4割減となった。社員一丸となって改革を進めた。独自のデリバリーやテイクアウト、通販等を始め、売り上げは徐々に戻りつつある。

 さかいり・まさる 1959年、桐生市生まれ。先代が開業した美喜仁寿司に82年入社。2007年から現職。桐生、太田、高崎で「海鮮ダイニング美喜仁館」などを経営

■石窯製造の頂点に 増田煉瓦社長 増田 晋一氏
 1917年に前橋で開業した。現在、煉瓦(れんが)製造はしていないが、この地でれんがを作っていたことを伝えたいと社名は変えずにいる。25年前に「れんがだけでは食べていけない」と、主にピザの石窯製造に切り替えた。有名飲食店などで石窯の価値が認められたことで、職人の育成にもつながった。
 石窯製造の頂点を目指している。数を作るより「良いものを価値の分かる顧客に提供すること」に力を注ぐ。徹底したこだわりの石窯が造れるのは、1基にじっくり手間をかけられる小規模事業者の強みだ。また、薪(まき)を利用したグリル窯やパン窯も展開している。「れんが」でイノベーションを起こしたい。

 ますだ・しんいち 1960年、前橋市生まれ。大学卒業後、東京三洋電機・三洋電機で技術職を経て94年入社。98年5代目就任。前橋をピッツァのまちに、煉瓦のまちづくりと併せて群馬・前橋の魅力を全国に発信中

■飲食店をサポート ユナ厨房社長 五十畑 隆宏氏
 館林で飲食店向けに厨房機器の販売、施工、メンテナスを請け負っている。20年前に脱サラをし、厨房機器のリユース品販売を始めた。当初は売り上げが上がらず、お客さまの要望に何でも対応した。そこから業務の幅が広がり、店舗リフォームや内装まで手がけるようになった。
 コロナ下で売り上げは減少。取引先の飲食店を回り、ただ話を聞く日々が続いた。開店をサポートした飲食店が半年足らずで閉店するケースも見てきた。「もっと店主の役に立てないか」という思いから、コンサルタント事業を考えている。社内にキッチンを置き、開店前の店主が実践的に学べる場を提供したい。

 いかはた・たかひろ 1971年、栃木県佐野市生まれ。厨房機器大手メーカーの営業を経て2002年に起業。リユース品の販売から始まり今は開業支援からメンテナンスまでトータルサポートを手がける

◎ファイナリスト16組決まる
 10月22日に行われたGIAの2次プレゼンテーション審査で、ファイナリスト16組が決まった。ファイナルステージは12月4日、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で開催する。当日はファイナリストのプレゼンテーションのほか、10周年特別企画として実行委員によるパネルディスカッションやパフォーマンス、イノベーションマーケットが予定されている。
 GIAファイナルステージに向け、GIA2022の特別協賛社やパートナー企業のトップらが語る座談会を毎週水曜日、計6回掲載する。

22.10.26 上毛新聞掲載はこちら

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GIA2次審査 16組 ファイナル進出

202210/23

10回目を迎えた起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の2次審査が22日、前橋市の同社で行われた。書類選考の1次審査を通過した50組が独自のビジネスプランを発表し、12月4日のファイナルステージに進む16組が決まった。

◎ビジネスプラン50組が思い込め
エントリーした522組の中から選ばれた2次審査出場者たちは、食や農業、服飾、福祉など、さまざまな分野についてパワーポイントを使って3分間で発表した。
食用コオロギを用いた持続可能なタンパク質の生産や、データサイエンスを活用した農作物の安定供給の実現、コーヒーの国産化など、それぞれの思いが込もったプレゼンに拍手が送られた。4人の審査員は経営者の視点から鋭い質問を投げかけていた。
起業や第二創業を目指す「ビジネスプラン部門」は高校生の部と大学生・専門学校生の部でそれぞれ3組、一般の部で5組が選ばれた。創業から5年未満の起業家を対象にした「スタートアップ部門」は3組、創業5年以上の事業者が対象の「イノベーション部門」は2組が最終審査への切符をつかんだ。
審査員は田中仁・ジンズホールディングスCEO、鳥越淳司・相模屋食料社長、荒井正昭・オープンハウス社長、清水直樹・上毛新聞社取締役営業局長が務めた。
ファイナルステージは、前橋市の日本トーターグリーンドーム前橋で公開で行う。10周年を記念し、実行委員5人によるパネルディスカッション、県内4高校の生徒によるダンスコラボパフォーマンス、高崎頼政太鼓の演奏など多彩な演出で盛り上げる。(中里圭秀)



22.10.23 上毛新聞掲載はこちら

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GIA2022 50組 2次審査進出

202210/08

10回目を迎える起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2022」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の事務局は7日、計50組が1次書類審査を通過したと発表した。22日に前橋市の同社で開かれる2次プレゼンテーション審査に進む。
部門別では起業や第二創業を目指す「ビジネスプラン部門」のうち、高校生の部で21組、大学生・専門学校生の部で10組、一般の部で10組が通過。創業5年未満の起業家を対象にした「スタートアップ部門」は6組、創業5年以上の事業者が対象の「イノベーション部門」は3組だった。
今年は過去3番目に多い522件のエントリーがあり、同プロジェクトに協賛する金融機関「フィナンシャルサポーター」が1次審査を担った。22日の2次審査はパワーポイントによる3分間のプレゼンテーションを実施し、実行委員長を務めるジンズホールディングスの田中仁CEOら実行委員がファイナリストを選出する。ファイナルステージは12月4日、日本トーターグリーンドーム前橋(同市)で開かれる。
(寺島努)




22.10.8 上毛新聞掲載はこちら

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「面白い」を掘り下げて  
ジンズホールディングス
田中仁CEO

202209/24

「面白い」を掘り下げて
安く大量生産された商品を購入する時代から、店や商品の背景に共感して手に取る時代に変わってきていると感じている。価値観が変化する中で、地域とのつながりを持ちながら、ブランド力を高めることを目指している。 昨年は地域が抱える課題に向き合い、共に成長するために「地域共生事業部」を発足。地域活性の一助となれるよう、これから活動を充実させていきたい。 地域の憩いの場となるような店舗作りを進めている。昨年開業した新施設「JINS PARK前橋」では、新たな交流を生む場として屋外広場を設け、店内を開放的にした。今年開業の前橋小島田店では、店舗として初めてソーラーパネルを設置。環境に配慮しつつ、空間演出に本県出身のアーティストが携わり、文化的な発信にも取り組んでいる。
眼鏡の開発だけでなく、子どもの近視を防ぎたいと考えている。進行抑制の手段として外で遊ぶことが推奨されていることから「もっと外遊びプロジェクト」を開始。商品購入時に有料化した紙袋の代金を活用し、玩具や遊具などを乗せた車「JINS見る育プレーカー」を製作し、都内のNPO法人に寄贈。子どもの外遊びを支援している。前橋市内のイベントにも出動した。

当社の事業ではデジタルを活用し、業務をブラッシュアップしている。過剰在庫の発生や欠品を防ぐため、人工知能(AI)が商品の需給を予測するシステムを本格導入した。多様なニーズに応えるために、公式アプリの改善を進め、最良なサービスの形を模索し続けている。
事業を展開する上で人材育成は欠かせない。従業員一人一人のスキルアップのため、本年度新設された国家資格「眼鏡作製技能士」の取得を目指し、社内教育機関「JINS Academy(ジンズ アカデミー)」を設立した。
従業員のモチベーションアップも重要だ。10月支給分から非正規雇用従業員のベース(最低)時給を東京水準で全国一律化する。格差をなくし、各地域の活力を生み出すきっかけとしたい。
新たなことを始めるには自分が「面白い」と感じたものを掘り下げていくことが大切だと感じている。その先にさまざまな可能性が見えてくるはずだ。変わりゆく時代に向けてチャレンジしよう。

22.9.24 上毛新聞掲載はこちら