トップ座談会(6)時代の価値創造へ
起業家発掘プロジェクト「群馬イノベーションアワード(GIA)2024」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)の実行委員と協賛社によるトップ座談会。最終回は、参加者が時代のニーズをつかみ、発展させていくことの重要性について語り合った。
(次回は27日掲載)
※掲載は座談会当日の発言順です
◆田子会計事務所代表 田子 宏美氏
◎高まる需要 読み取る
「中小企業の経営者の1番のパートナーとなり、ともに成長していくこと」を会社理念に掲げている。インボイス制度、電子帳簿保存法の改正など、経理の世界は変化が激しい。 人工知能(AI)の性能が向上する中、税理士などの経理業務は「将来的になくなる仕事」ともいわれているが、冷静に周りを見渡してみれば、会計事務所に助けを求める声は増えている。時代のニーズに応じたサポートは需要が高まっているように感じる。
中小企業が何に困っているのかをきちんと読み取り、悩みに合った商品を提供することで、お客さまの役に立てるチャンスはまだまだある。お客さまから信頼してもらえる税理士事務所として、仕事に自信と誇りを持ち、地域を盛り上げていきたい。
たご・ひろみ 1980年、前橋市生まれ。税理士、中小企業診断士。女性経営者、創業者の支援、事業承継などに力を入れている。
◆JTB群馬支店長 三上 敬太氏
◎地域一体 挑戦続ける
コロナ禍を経て、旅行業界は大きく変化した。日本人の海外旅行者よりも、訪日外国人の数が圧倒的に増えている。群馬は全国に誇る温泉王国。観光地としての人気が高く、ビジネスチャンスとして捉えている。
支店長になってから社員に伝えているのは「スイング・ザ・バット」というキーワード。既成概念にとらわれず、時代の変化やニーズに柔軟に対応し、失敗を恐れずに挑戦を続けたい。
県内中高の修学旅行の取り扱いは毎年1万人以上。生徒さんたちの一生に一度の思い出づくりの手伝いができることをうれしく思っている。
観光地も人材不足という課題に直面している。今までに培ってきたノウハウを生かして、地域一体で課題解決に取り組んでいきたい。
みかみ・けいた 1976年、新潟県長岡市(寺泊)生まれ。98年JTB入社。2018年から2支店にて副支店長を経験し、24年2月から現職。
◆日本政策金融公庫前橋支店長 森下 勝弘氏
◎新たな目線で支援を
政策金融機関として小規模事業者、中小企業、農林漁業者の経営を資金面等からサポートしている。今は、お客さまにとっては、原材料高騰、人手不足などとても厳しい経営環境であり、さらに短期間に外部環境が一変してしまう時代だ。そんな厳しい時だからこそ、お客さまの本音をじっくりと聞かせていただき、粘り強く寄り添える金融マンを目指していきたい。
食品市場では、かつて、「内食」「中食」「外食」といった区分があったが、コロナ禍でこれらは完全にカオス化してしまった。今までの市場や業態への先入観を捨て、新たな目線で物事を見ていくことを大切にし、お客さまの安心と挑戦を支え、共に未来をつくっていきたい。
もりした・かつひろ 1968年生まれ。91年農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)入庫。2023年3月25日から現職。
◆石田屋代表取締役社長 石田 昌嗣氏
◎住宅に太陽光生かす
本県と埼玉県北部で一戸建て住宅を年間約180棟建築している。2002年にパナソニックのフランチャイズグループに加盟し、本格的に一戸建て住宅建築事業を行うようになった。藤岡市に本社、埼玉県本庄市の隣にある神川町に事業拠点を構える。
住宅はお客さまがその家で幸せな家庭を築くことが目的にある。メンテナンスや困り事に迅速に対応できるように、拠点から約1時間で行ける距離を商圏の目安としている。
今年のテーマは、太陽光と自然エネルギーを生かした住まいづくりとまちづくり。エネルギーを有効活用した住宅を提案し、軌道に乗せていきたい。お客さまに「石田屋で良かった」と言ってもらえることを目標に取り組んでいる。
いしだ・まさつぐ 1977年、鬼石町(現藤岡市)生まれ。2002年に石田屋入社。本県、埼玉県北部で一戸建て住宅を建築。22年から現職。
◆アゼット代表取締役 大河原康史氏
◎次の世代へ受け継ぐ
WEBシステムの開発を主に請け負っており、特にオンラインで学習する「eラーニングシステム」の制作を得意としている。そのほかにパソコンやWEBに関する相談にも応じており、柔軟に対応できるのが当社の強み。
創業時から役員として参画しているが、真面目で人の良い仲間が多い。本年度の抱負は理念と行動指針を固めて、社員全員で一丸となって次のステップに進むこと。
WEB業界は変化のスピードが速い世界。いち早く反応して、新しいことを取り入れていきたいと考えている。若い世代が活躍して、切磋琢磨(せっさたくま)しながら会社を導いていってくれれば、この先も明るいだろうと思う。土台をしっかりと築き、次の世代へ受け継いでいきたい。
おおかわら・やすし 1972年、沼田市生まれ。2000年にWEB業界へ転身。アゼット設立時から役員として携わり、08年に代表就任。
◆野村證券東日本コーポレート・ファイナンス部 松本 太聖氏
◎寄り添う姿勢大切に
企業の成長ストーリーに自分自身も寄り添っていきたいという思いが生まれ、現在の部署に移った。今年の抱負は「オーナーシップを持つ」ことで、これからの抱負でもある。野村の看板に頼らずとも、「あなただから仕事をお願いした」という機会を増やしていきたいと思っている。
環境が常に変化していく状況の中で、証券会社のプレーヤーやサービスはほとんど変わっていない。課題は担当者がどれだけお客さまと今後について綿密に話し合えているかということ。どの証券会社でも基本的には変わらないサービスだからこそ、より深い信頼関係を築いていけることが最終的なゴールだと思っている。お客さまに寄り添って、理解する姿勢を大切にしていきたい。
まつもと・たいせい 1996年生まれ。慶応大卒。2019年入社。八王子支店、法人開発部を経て、23年9月より現職。上場企業30社を担当。
◆太陽誘電開発研究所長 平國正一郎氏
◎変化の兆しをつかむ
当社には「おもしろ科学で より大きく より社会的に」というミッションがある。新しいものを生み出すには時間がかかり、決して簡単なことではないが、科学の力で新商品や新技術を開発していきたいと考えている。
5年後、10年後にはどんなふうに世の中が変わりそうだと予想して、先手を打って進めていかなければならない。国内に限らず海外の動向にもアンテナを張り、変化の兆しをつかむことが重要で、それが新たな価値を生み出すことにつながる。
読み取ってきたものと違うトレンドが出てくることもあり、試行錯誤を繰り返しながら研究を進めている。上半期の成果を振り返りながら、これからどのように成果を出していくかを模索していきたい。
ひらくに・しょういちろう 1965年、鹿児島市生まれ。88年太陽誘電入社。主に研究所で研究開発に従事。2017年から現職。
◆クスリのマルエ代表取締役社長 鈴木 暁子氏
◎スピード感ある成長
前社長の江黒太郎から、今年の5月17日に引き継いだ。新たな組織づくりやスタッフの思考の変化などを促しながら、スピード感を持って変わっていきたい。
ドラッグストアは進出が多く、商圏が非常に狭くなっている。WEBを中心とした販促強化に加えて、地域のニーズに合わせた品ぞろえやレイアウトに力を入れている。人材育成について、若い世代の考え方も変わってきている。昨年から頭髪や服装規定を緩やかにしたことで、スタッフのモチベーションアップだけでなくコミュニケーションや接客のきっかけにもつながっている。
新たな社長に代わったことを契機として、今までできなかったことにも挑戦し、会社を盛り上げていきたい。
すずき・あきこ 前橋市出身。共愛学園高―新潟薬科大卒。2002年入社。取締役兼調剤統括本部長などを経て、5月17日から現職。
◆HAWORD代表取締役 宮﨑 雄一氏
◎食で人を幸せにする
イノベーションスクールに1期生として参加し、起業した。イタリアンレストランを2店舗とドレッシングの製造・販売をしている。イノベーションアワード、イノベーションスクール、座談会から、たくさんの学びと人脈を得ることができた。
レストランは3世代が一緒に楽しめるような店。人との触れ合いを喜びに変えるという使命を持って取り組んでいる。10年経営を続けてきた中での気付きやアドバイスから「ハピネス~すべての人を幸せに」という熱い思いは奥深さを増している。
月に2回ほど、スタッフが映画監督など、さまざまな業界の一流の人たちに触れる機会を設けている。スタッフにも店への思いを共有して、一緒に最高のレストランをつくり上げていきたい。
みやざき・ゆういち 1972年生まれ。2013年にイタリアンレストラン「ピッツェリア・ぺスカ」を開店。前橋市で2店舗を展開する。
【ファイナルステージ概要】
12:00アリーナ開場、13:00開幕
◆「コーヒースタンド」オープン
ONCA COFFEE、大和屋珈琲 ほか
◆ウェルカム演奏
NAIKA MC(ラップ披露)
◆ファイナリスト(13組)最終プレゼン審査&表彰式(敬称略)
【ビジネスプラン部門高校生以下の部】江戸美月(前橋商高3年)、根子優太(桐生高3年)、佐野結愛・天田ヒカリ(前橋東高2年・同2年)、浜島陽奈(ぐんま国際アカデミー中等部2年)
【同部門大学生・専門学校生の部】宮川拓也(群馬大5年)、渡辺光祐(慶応大3年)、春山奈緒(共愛学園前橋国際大3年)
【同部門一般の部】西沢洋介(にしざわ接骨院院長)、田中秀彰(デジタルスイッチ代表取締役)、小保方貴之(FМ桐生事業本部長)
【ベンチャー部門】飯塚花笑(スタジオ6.11代表社員)、岡村昌輝(Splash Brothers取締役)、村田悠典(MU代表取締役)
◆地元若手起業家トークセッション
①高橋史好さん
=concon(株)
②アジズ・アフメッドさん
=(合)NowNever.
③村上 采さん
=(株)Ay
④林 龍男さん
=(株)Dazy
◆ダンスパフォーマンス(ブレイキン)
SHADE×Mako
■同時開催イベント(11:00~)
「群馬イノベーションマーケット」
ファイナルステージは12月14日(土) @日本トーターグリーンドーム前橋
掲載日
2024/11/20