◆ビジネスプラン部門(高校生以下の部)◆
◇根子 優太さん(桐生高3年)
身近に潜む食物アレルギーのリスクに着目。確認が困難な視覚障害者向けに、原材料表示や独自のQRコードをカメラで読み取り、音声でアレルギー情報を知らせる装置を開発した。
より多くの人が利用できるよう、実際の装置とアプリの二つでサービスを提供。障害の程度によって使い分けできるように工夫した。「技術だけでなく、ビジネスにつなげる視点も大切。事業化に向け、今後も挑戦を続けたい」と意気込んだ。
◇佐野 結愛さん、天田ヒカリさん(前橋東高2年)
人身事故削減を目指し、危険運転を防止するアプリ「SRR」を考案した。スマートフォンのカメラで表情を読み取ることで、心拍数や呼吸数を検知。ストレスや怒りなど予兆があった際に音声で注意を促すほか、事前に登録した連絡先へ通報する機能も搭載した。
スマホ1台で利用できる手軽さを生かし、タクシーや運送事業者向けに従量課金制での実装を展望。2人は「SRRの商品化を実現し、世界に広げていきたい」と力を込めた。
◇浜島 陽奈さん(ぐんま国際アカデミー中等部2年)
けがで車いすを使用することになった友人を補助した経験から、障害の有無にかかわらず、誰もが快適に利用できる公園の整備プランを発表した。
整備対象に館林市の城沼総合運動場を選定。プランでは、車いすのまま乗れるブランコや段差のないトランポリンといったインクルーシブ遊具の設置、風鈴や花など五感で楽しめる環境整備の推進を掲げた。「みんなが平等に過ごせるようになってほしい」と共生社会の実現を願った。
◆ビジネスプラン部門(大学生・専門学校生の部)◆
◇宮川 拓也さん(群馬大5年)
人工知能(AI)問診システムと五感のデジタル化を融合し、あらゆる場所での病院診療を実現する「未来の医療」を展望した。
「病院が苦手」という患者の声を聞いたことが発案のきっかけ。視覚と聴覚による情報に偏っている現在のオンライン診療を発展させた。AI問診と組み合わせることで、自宅にいながら対面と遜色ない医療につなげる。
「ここ群馬から発信し、世界の医療に強烈な空っ風を吹かせたい」と強調した。
◆ビジネスプラン部門(一般の部)◆
◇西沢 洋介さん(にしざわ接骨医院院長)
「移動できることは人間の本質的な幸せ」。神経を鍛える健康事業を発表した。自身がプロ野球選手時に経験した痛みなどを解消する役目を担おうと、接骨院を開業し、三つの神経に着目した。
感覚神経には特殊なタッチで神経の滞りを改善する施術を実施。運動神経には高齢者の機能回復などを図れる療法、自律神経には副交感神経節を刺激する療法を施す。「仲間を増やしながらメソッドを日本中に広めていきたい」
◇小保方貴之さん(FM桐生事業本部長)
「地域のリスナーと企業がつながる新しい広告市場をつくる」。ユーザーが作成したラジオのプレイリストに合った広告を出稿できるアプリ「shelfs(シェルフス)」の魅力を伝えた。
利用者は各地のラジオ局から番組を選んでプレイリストを作成。ターゲットを個人からプレイリストに変えることで、文脈に合った広告を提供できる。「利用者のストレスを軽減できる。企業も広告をリーズナブルな価格で出せる新しい選択肢だ」と熱を込める。
◆ベンチャー部門◆
◇岡村 昌輝さん(Splash Brothers取締役)
3台同時に短時間で洗車できるトンネル洗車機を使ったサブスクリプション(定額利用)の洗車サービスを展開する。本県と栃木県に4店舗を構え、1店舗当たりの会員は約2000人に上る。2027年までに本県近郊で20店舗を出店する構想を示した。
「イノベーションは未来の当たり前をつくること」と述べ、「群馬で根付き始めた、いつでも、どこでも、気軽にできる洗車を日本の当たり前にしていく」と展望した。
【若手起業家トークセッション】原体験語り挑戦者激励 起業への考え方熱く
本県ゆかりの若手起業家によるトークセッションでは県内外で活躍する4人が事業内容や起業したきっかけを紹介。好きなことを突き詰める大切さを語り、起業や新たなビジネスに挑戦する人たちの背中を押した。
インバウンド(訪日客)向けにだるま販売などを手がける高橋史好(ふみこ)さん=高崎市出身、伊勢崎市伝統の絹織物「伊勢崎銘仙」をアップサイクルするアパレルブランドを立ち上げた村上采(あや)さん=同市出身、前橋市中心街のカレー店など飲食店経営の林龍男さん=高崎市出身、映像制作会社経営のアジズ・アフメッドさん=榛東村=が登壇した。
◎インドに留学
高橋さんは高校時代にインドへ留学し、不動産開発でまちを発展させるホストファザーの仕事ぶりを見て起業家を志すようになったと振り返った。大学在学中に起業しインド向け配信メディアを手がけ、その売却資金でデコレーションして販売しただるまが注目を浴びた。既存のだるまから脱した製品を海外向けに売り込み、将来的にパリコレを目指す夢を語った。
村上さんも大学時代にアフリカのコンゴ民主共和国に渡り、不安定な社会で力強く生活する現地の人と交流したことが起業の原体験。アパレル事業で同国との橋渡しをしたいと行動を起こし、慣れ親しんだ伊勢崎銘仙でのビジネス構想が後から追いついたと説明した。
◎好きなことで
林さんは大学卒業後に就職した商社を退職後、一番好きな飲食を仕事にしようと一念発起した。現在は業態の異なる飲食店4店舗を経営するが、学生や社会人での多様な経験が今につながっていると語った。
パキスタン出身のアジズさんは9歳の時に来日し、日本語が分からない中で映像で人に思いを伝えた経験が現在の糧になっているとした。さまざまな商品を見て魅力を引き出すのが得意で、伝える役目にやりがいを感じているとした。
ハードルが高いイメージの起業への考え方も共有した。高橋さんは、今は学生でもリスクなく始められる事業があると説明。大学時代に仲間と編集に10時間かかる動画を2年間で200本制作した経験を例に挙げ、「才能は必要なく、泥くさく続けられるかが大切」と強調した。林さんは「好きなことで起業して毎日文化祭のようで楽しい」と語る一方、苦しくても従業員を背負う以上やるしかないと腹を決める覚悟はあると語った。
掲載日
2024/12/15
24.12.15 上毛新聞掲載はこちら